なぜ闇バイト首謀者は捕まらないのか…法律の盲点突くスキーム、通信傍受もおとり捜査も及ばず野放し状態
■ 通信傍受と予備罪の法改正を 星:そういうことです。トクリュウの摘発と、闇バイトの根絶のために通信傍受法と予備罪の法改正を議論すべきです。 通信傍受については、メッセージの中身を直接傍受できない場合でも、メタデータ(発信者や受信者、日時、場所などがわかるデータ)を利用すれば犯罪の手がかりをつかめるかもしれません。 もちろん空振りの可能性はありますし、指示役は海外にいて難しいにしろ、実行役のシグナルに「複数のメッセージが届いている」ことは確認できるでしょう。通信傍受が可能になれば、実行役に対してメッセージを受信した段階で捜査することができます。すると、犯罪を未然に防ぐことができる可能性が高まります。 薬物取引の場合、おとり捜査官が薬物を購入しても犯罪には問われないという規定があります。ただ、闇バイトへのおとり捜査に関しては、おとり捜査官を守る規定がありません。SNSを使った特殊詐欺や強盗がなくなるとは考えにくいため、予備罪段階で検挙を可能とし、おとり捜査官を守る法改正を進めるのが、実効性の担保にもつながるでしょう。 トクリュウの首謀者からすれば、「何もわからない若者を脅し、だまし、最終的には“使い捨て”にできる」というスキームを手放すとは思えません。もちろん、若者が安易に闇バイトに手を出さないように啓蒙活動をしていくことも重要ですが、最終的には首謀者を明らかにしていかなければ、闇バイトはなくなりません。
星 周一郎/湯浅 大輝