【高校サッカー】札幌大谷が4年ぶり全国選手権へ 「つなぐサッカー」に強さと得点力を融合
◆サッカー◇全国高校選手権北海道大会▽決勝 札幌大谷3-1旭川実(2日・大和ハウスプレミストドーム) 決勝が行われ、札幌大谷が3―1で旭川実を破り、4年ぶり4度目の栄冠を手にした。前半4分に先制されるも、同20分にDF森詩音が同点弾、同32分にFW真浦劉が決勝点を挙げるなど、磨き上げてきた攻撃力で逆転勝利を飾った。就任3年目の清水隆行監督(49)が、札幌大谷の特長でもあり弱点でもあった「つなぐサッカー」に、強さと得点力を融合。たくましさも身に着けたチームが、北海道の頂点の座に返り咲いた。 ***** 4年ぶりVが決まる笛が鳴った瞬間、札幌大谷イレブンは涙し、歓喜の抱擁を交わした。応援席の控え部員らと喜びを分かち合うと、MF笹修大主将の呼びかけで清水監督の胴上げが始まった。就任年数と同じ3度宙に舞った指揮官は「彼らとまだ一緒にサッカーができるのが、一番の喜び」と表情を緩めた。 同校は13年の初出場から3度、選手権の全国舞台を踏んできた。持ち味はボールを保持してつなぐサッカー。2度目出場の15年は1―1からのPK戦で鹿児島城西を破って初勝利を挙げるも、敗れた3戦はいずれも無得点に終わった。清水監督は「つなぐのは大谷の文化だったが、全国ではなかなか勝てない。もっと点を取ることにこだわらないと、結局いいサッカーで終わってしまう」。ゴールへの意識を何より植え付けてきた。 今大会の主軸となった清水監督と“同期”の現3年生も、得点の必要性を痛感させられる出来事があった。2年前、1年生によるルーキーリーグを北海道では圧倒的な強さで制するも、全国では予選リーグを1勝2敗で敗退。この日、同点弾を決めた右SBの森は「ボールは持てるが得点力が少なかった」と負けた2戦で1得点に終わった屈辱を糧にしてきた。この日の得点はバリエーションを増やすべく、サイドの選手が中央に入って来るという繰り返してきた形。森は「やってきたことが出せた」と笑った。 加えて早い判断力と切り替えを身に着けるべく、ペナルティーエリアの幅でのハーフコートの11対11も繰り返してきた。決勝点の真浦は「早い切り替えからの得点は練習から意識してきたもの」と言った。うまさだけでなく、強さを身に着け、頂点へとたどり着いた。 清水監督は常々選手にこう伝えてきた。「俺は監督であると同時に札幌大谷のいちファン。それだけ君たちは楽しいサッカーをしてるんだよ」と。その言葉を体現してつかんだ全国切符。森は「つないで得点も取れる大谷らしい面白いサッカーを見せたい」と大舞台を心待ちにした。(砂田 秀人) 〇…J3今治への来季加入が内定している笹は、優勝の瞬間、両手を上げてひざまずいた後、ピッチに突っ伏して涙した。「このチームでまだサッカーをやりたかったので。全員で勝てて良かった」と感極まった。仲間が絶対的な信頼を置く主将は「ピリピリした練習をしないと最後は踏ん張れない」と厳しい言葉も投げかけながら、チームをけん引してきた。「北海道で勝って堂々とプロに行くのが目標」と言い続けてきた有言を実行し「ここから1か月半余り、課題を突き詰めていきたい」と気を引き締め直した。 旭川実の6年ぶりの王座奪回はならなかった。前半4分、左サイドからMF鈴木琉生が左ミドルを放って先制するも、前半に逆転された。後半は相手ゴールに迫る場面もあったが、得点とはならず、富居徹雄監督(52)は「仕留められる時間帯に取らなきゃいけなかった」と悔いた。高校総体道予選に続くVはならず、鈴木は「2年生でこの舞台を経験できた人もいるのは大きいこと。来年は監督を全国に連れて行ってほしい」と後輩に思いを託した。
報知新聞社