「日本の魅力は圧倒的に“食”なんです」株式会社GRAが“地方”から目指す“日本の農業の発展”その展望とは?
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。10月26日(土)の放送は、前回に引き続き、株式会社GRA 代表取締役CEOの岩佐大輝(いわさ・ひろき)さんをゲストに迎え、お届けしました。
岩佐さんは、1977年生まれ宮城県出身。2002年、大学在学中にIT起業し、その後、2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた故郷・宮城県山元町の復興を目的にGRAを設立。著書に「99%の絶望の中に『1%のチャンス』は実る」(ダイヤモンド社)、「絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業」(朝日新聞出版)などがあります。
◆地方でも人材を獲得できている理由
イチゴ専門カンパニー・GRAで先端技術を活用した農業“アグリテック”の可能性を追求しながら、ブランド・ミガキイチゴの生産、販売をおこなっている岩佐さん。 今回は、現在GRAが直面している課題を聞いてみると「“農業は時間がかかる”ということですね」と回答。例えば、イチゴにしても播種から収穫までは一定の時間がかかり、それを短縮するには、どれだけお金とエネルギーを注いでも限界があるとのこと。そんななか、岩佐さんは農業をやりたい方にGRAの技術を提供して独立をサポートするなど、新たなビジネスモデルを模索しています。 また、地方でビジネスをおこなううえで都心の企業以上に“人手不足”が悩みの種になりそうですが、「ありがたいことに(GRAには)多くの若い方々にご参加いただいている状況にあります」と胸を張ります。 その人材獲得に重要なポイントとして“ビジョン”を挙げ、「人は将来が見えないことに人生を費やしたり、ご飯を食べるためだけに働くのはつまらないけど、働く楽しさと楽しいライフスタイルを合わせて提供できる会社は採用が強いと思います。例えば、我々の会社では休日にみんなでキャンプやバーベキューをしたり、サーフィンに行ったりする。日々の生活を楽しみながら、かつビジネスも農業の最先端にいて、プロダクトはグローバルに展開しているので、地方にいても、みんな主役感を感じることができるんですよ。そういったことが採用では非常に重要だと思います」と力を込めます。 さらに、地方を盛り上げると同時に、現在深刻な状況にある日本の農業の改善に向けて、「今、ニッチな野菜が徐々に絶滅しているんですよ。現在インバウンドビジネスが盛況ですが、日本の魅力は圧倒的に“食”なんです。しかし、それも農業が衰退することで弱体化してしまうので、みんなで農業をやって地域と農業を盛り上げていかないと。食文化、ひいては国の力にも影響するんですよね」と警鐘を鳴らします。 その一方で、日本のアグリテックの問題点として「日本の農作物は多品種・少量生産で、それだとテック(技術)を導入するにも効率が悪い」と指摘。 例えば、特定の作物専用の収穫ロボットを作ったとしても、「お米やイチゴなど大きなマーケットがある作物ならいいのですが、ニッチな作物は現状厳しく、そうしたなかでいかにビジネスを作っていくかが大きな課題。今はアグリテックのスタートアップ企業がたくさん出てきていますが、それらが大きな農業DXの会社を作るようなスケール感でやっていくのが大事かなと思います」と話します。