「年収1000万円」は本当に高年収ですか? わが家は「年収500万円×2」の共働きなのですが、子どもがいて余裕はありません。もう少し“裕福な暮らし”ができると思っていました…
世帯年収1000万円と聞くと「大台」を達成した裕福な家庭を想像しがちかもしれませんが、実際の生活ぶりはどのようなものなのでしょうか。 本記事では、最新の調査を参照しながら、「世帯年収1000万円」の暮らしをシミュレーションしてみます。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
2024年現在、「世帯年収1000万円以上」の世帯は意外と多い?
まず、「世帯年収1000万円」の家庭は、現在の日本ではどれくらい存在するのかを確認してみましょう。 厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、わが国において世帯年収1000万円を超える世帯は全体の11.7%です。約9世帯に1世帯が「世帯年収1000万円」を達成していると考えると、意外に多いと思うかもしれません。 しかも、この数字は「高齢者世帯」(65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)を含んでいますので、世帯主や配偶者が現役で働いている世代に限ると「世帯年収1000万円」を達成している家庭の割合は大きく上昇します。 具体的には「高齢者世帯以外の世帯」に限ると全体の17.4%、「児童(18歳未満の未婚の者)のいる世帯」では26.6%と、実に4世帯に1世帯以上が「世帯年収1000万円以上」となっています。 最近のインフレに伴う賃金上昇も考えていくと、2024年においては「世帯年収1000万円以上」を達成している現役世代の割合は、さらに高くなっていると予想されます。 デフレ期の感覚では「世帯年収1000万円」の家庭は数少なく、非常に裕福であるというイメージがあったと思いますが、現在ではそこまで珍しいものではなくなってきています。子育てをしている家庭に限れば4世帯に1世帯以上が当てはまる「ちょっと生活に余裕がありそうな家庭」程度になっているようです。
「年収500万円×2人」共働き世帯の暮らしぶりは?
ここでは、事例として「年収500万円×2」で共働きし、16歳未満の子どもを1人養っている世帯の手取り収入額や暮らしぶりをシミュレーションしてみましょう。住民税率・社会保険料率等については東京都在住者の水準とし、世帯主・配偶者ともに40歳未満(介護保険料はかからない)とします。 収入:500万円(給与収入のみ) 所得税:約10.2万円 住民税:約24.4万円 厚生年金:約45万円 健康保険:約24.5万円 雇用保険:約3万円 年間手取り額:約392.9万円 年収500万円×2人で家計を支える世帯の場合、年間手取り額は392.9万円×2=785.8万円、ボーナス等を勘案せず単純に12で割ると、月間手取り額では約65.5万円となります。これに児童手当(月額1万円、年間12万円)を加えると、月間手取り額は「約66.5万円」です。 また、2023年における家計調査「年間収入十分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出・二人以上の世帯のうち勤労者世帯」によると「世帯年収1000万円程度」(上位から2番目、世帯年収平均額は1055万円)の世帯において、1ヶ月あたりの主な支出費目・金額は以下の通りです。 食糧費:9万8248円 光熱水道費:2万5027円 家具・家事用品:1万6579円 被服費:1万5607円 保険医療費:1万6423円 交通・通信費:6万8798円 その他消費支出:7万2370円 小計:31万3052円 これらに加え、住居を賃貸している場合は東京23区内であればファミリー向け物件で毎月15~30万円程度、子どもが習い事をしたり私立学校に通っている場合などは毎月5~10万円程度の追加支出が必要になると考えられます。 仮に住居費に25万円、教育費に5万円を支出しているとすると、そのほかの支出が平均的であったとしても、月間総支出は61万円を超えます。 これでは月間手取り額が66万円以上あっても、「生活に余裕がある」とはとても言えない状況です。万が一の事態に備え、家計の見直しを行っていくことが重要になっていくでしょう。