ソフトバンク子会社「Gen-AX」設立の狙い 「AIによる業務変革」はどこまで進むか?
Gen-AXのビジネス戦略とは? 競合は?
――同様のサービスを提供している企業はあるのでしょうか。 いろいろな角度から見れば、あると思います。例えば、米Salesforceのような顧客関係管理(CRM)ツールにおいても、いま生成AIを部分的に導入する動きが盛んです。他の業種でも同様に、既製品に生成AIを導入する取り組みが進んでいます。 こうした製品の中には、いかに早く生成AIを取り入れてユーザーに届けるかを競争にしている面も多く、いち早く市場に出すために、生成AIのチューニングが十分にされていないケースもあります。将来的にもレッドオーシャンの領域だと言えますが、こうした中でわれわれは生成AIのチューニングを正しく実行し、精度の高い製品を提供していきたいと考えています。顧客の課題解決に十分につなげていきたいですね。 ――Gen-AXが開発するプロダクトの特徴として、大きな一つの汎用LLMを置くのではなく、複数の特化型LLMを並列に並べています。規模が大きくない特化型の生成AIを並列で処理することによって、大きな単一のものを運用するよりコスト削減できる利点があると思いますが、性能面での違いはどうなのでしょうか。 ChatGPTのような非常に大きな一つの汎用LLMを運用する場合と、分野別などで特化したLLMを並べて運用する場合で、どちらが高い性能を発揮するか。実はこれはコンピュータサイエンスにおいて決着がついていない問題だったりします。 われわれは、LLM自体を日夜研究開発しているわけではなく、既存のLLMをいかにして応用して運用するかという技術を日々磨いている立場です。その面でも、既製品の複数のLLMに横串を通す形で、いかにして効率良くパフォーマンスを出していけるかを考えていくことが応用面で重要になってきます。その点でも、複数の特化型LLMを並べて展開する可能性を模索することは、Gen-AXの戦略にとっても理にかなっていると考えています。 (河嶌太郎、アイティメディア今野大一)
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