7月の企業倒産は920件、27カ月連続で増加 7月としては11年ぶり高水準、2024年は1万500件前後に到達ヘ
事業や雇用を存続させる法的整理スキーム活発化へ
帝国データバンクが7月30日に発表した『「事業存続型倒産」の実態調査(負債5億円以上)』によると、事業譲渡や自主再建等によって、倒産後も“事業”が存続した「事業存続型倒産」は2014年度以降の10年間で1549件判明。2023 年度は157件を数え、2年連続で増加した。過去10年の事業存続率は33.6%となり、倒産企業の3社に1社を数えた。会社消滅を前提とする破産でも、全体の11.9%が何らかの形で事業は存続している。 「倒産」という言葉には「(会社や雇用が)すべてなくなる」とのネガティブなニュアンスが強いものの、「会社という従来の器はなくなるものの、(事業譲渡を前提とした第二会社方式等により)事業や雇用は生き残るケース」が一定数あることが、今回の調査であらためて浮き彫りとなった。政府が推し進める事業者の再生支援等のニーズの高まりを受け、法的整理を用いて“事業”や“雇用”を存続させるスキームが今後さらに活発化していきそうだ。
2024年の企業倒産、現状の前年比2割増ペースで1万500件前後へ
2024年の企業倒産の中心は負債1億円未満の中小・零細企業である状況に変化はないものの、10カ月ぶりに負債1000億円以上の超大型倒産が発生した。国産リージョナルジェット機「スペースジェット」の開発で知られたMSJ資産管理(旧:三菱航空機)は7月4日、負債6413億円を抱えて特別清算を申請。実体経済への影響は少ないが、戦後の大型倒産の中でみると、上場食品商社の東食(負債6397億円、97年12月会社更生法)を上回り17番目の負債規模となった。 このほか7月は、「なぎさ薬局」などの名称で全国に50店舗以上の調剤薬局を展開する寛一商店など9社(負債合計111億5000万円、会社更生法)、東証プライム上場のアサヒグループホールディングスの子会社として外食事業を展開していたアサヒフードクリエイト(負債89億9700万円、特別清算)など、負債数十億円クラスの大型倒産も多数発生した。 2024年1-7月の倒産件数は5807件となり、前年同期(4707件)を23.4%上回った。コロナ支援策が終了するなか、物価高や人手不足も加わり、年初からの企業倒産は前年を2割超上回るペースで推移している。今後も中小企業を取り巻く経営環境は厳しく、現在の発生状況が続けば、2024年の年間合計は1万500件前後(2023年:8497件)となる見通しである。