F1イタリアGPのレース中、グレイニングが消えた? ルクレールまさかの1ストップを実現させた理由をピレリが分析
■グレイニングの発生を低減する方法
グレイニングは、発生しても消えてしまう可能性があるとイゾラ氏は言う。しかしそれでも、パフォーマンスが改善することは稀なのだ。 「グレイニングは、発生しても通常の摩耗と共に消えていくものだ。ただそれは同時に、タイヤが熱くなっていることを意味する。つまりグレイニングが綺麗になっても、パフォーマンスが回復しないか、ほんの少しだけ回復するかのどちらかなんだ」 そうイゾラ氏は説明する。 「モンツァでも、過去の他のレースと同様に、パフォーマンスに影響するようなグレイニングがあった。特に左フロントタイヤのグレイニングは、アンダーステアの原因になった。このグレイニングが綺麗になるとグリップが回復したが、それほどパフォーマンスは上がらなかった。その時点でトップチーム、特にレッドブルが2ストップを選んだのは明らかだった。ハード→ハードと繋いだからね。フリー走行で誰もハードを使っていなかったから、それは保守的な選択だったんだ」 そんな中で1ストップでレースを走り切ったルクレールは、他とは何か違うことをしていたのか? そう尋ねると、イゾラ氏は次のように語った。 「レース中にチェックしていたが、適切な分析を行なう時間はなかった。しかし金曜日のロングランで何が起きたのかを見てみると、タイヤを穏やかに使い始めたドライバーのデグラデーションが、はるかに低くなっていたんだ。一方で、1周目からプッシュしたドライバーのデグラデーションは大きい」 「レース中にそういうコントロールをするのは難しい。なぜならコース上でポジションを守るためには、あまり減速できないからだ」 「グレイニングが始まるのを避けるためには、フロントもしくはリヤに過度なストレスがかからないよう、注意すればいい。ただハードコンパウンドを履いた最初の数周はうまく機能していたため、最後までタイヤが持ちこたえたのだと思う」
田中健一, Jonathan Noble