【高校サッカー】公式戦150ゴール超!帝京大可児FW加藤隆成「日本一と得点王」へ全国10点目
<全国高校サッカー選手権:帝京大可児5-1大分鶴崎>◇31日◇2回戦◇味フィ西 岐阜のゴールモンスターが、全国大会通算10点目を挙げた。6大会連続11回目の帝京大可児が5得点で初戦突破。背番号10の主将FW加藤隆成(3年)が前半22分に中央へ持ち込んで右足で先制点を挙げ、大勝の口火を切った。 加藤「心がけている縦突破、裏への抜け出しから、点を取ることができて良かった。今年は(学校初の)ベスト8を目指すのではなく、日本一を狙いたい。そのためにも、今日は1点しか決められなかったので、次は2点目、3点目と決め切っていきたい。目標は百発百中なので」 自信を3年間かけて深めてきた。1年時から岐阜王者の10番を背負い、今夏の全国高校総体(インターハイ)では立正大淞南(島根)戦でハットトリック。続く桐光学園(神奈川)戦でも2試合連弾の4ゴール目など、全国で9得点を積み上げてきた。この日が節目であり通過点の10点目。最後の選手権初戦で、きっちり決めてみせた。 脅威のスコアラーだ。県リーグ1部では昨年が40得点で今年が30得点。選手権の県予選も、初戦の多治見戦で1試合10ゴールをマークするなど、全5戦で21得点して全国に舞い戻った。しかも同じ得点数を2年時にも記録しており、岐阜県大会で「2年連続21得点」と、点取りまくり屋だ。 仲井正剛監督(45)が「練習試合を含め、加藤が決めていない試合はないんじゃないか、というくらい」と信頼を寄せるエースは、公式戦だけでも通算150ゴール以上で、正確な数は覚えていなくても仕方ないレベルで得点を量産してきた。 この日も大分鶴崎の182センチDF吉元俊輔(2年)からマンツーマンで徹底マークされたが、はがして決めて、自身に集中させて周りを生かす。2年生MF青木嘉宏の2得点など、チームで5点を奪った中心に君臨した。 それでも、わずか1点では満足できない高校生活を送ってきた。インハイの2戦4発など決めれば決めるほど自信が増し、落ち着いけるようになった。「縦突破、抜け出し、反転シュート…どの形でも決め切るのが自分の仕事」。冒頭に語ったような「百発百中」の境地に達するべく、残り4戦で一気に得点王まで上り詰める気概だ。 「どこかで最低ハットは決めないといけないけど(個人1大会最多)記録の10点を超えたい。(08年度の鹿児島城西FW)大迫勇也選手が語り継がれているので、自分も『加藤超え』と目標にされる選手になりたい。そのためには、まず後輩に負けないように(笑い)。今日はヨシ君(青木)が2点。最後の選手権で後輩を下回って終わるのは、とても嫌なので。研究もされてきたけど、チャンスを全て決めていければ」 試合後、前回覇者の青森山田や、初戦でハット&2アシストで5点に関与したイングランド・プレミアリーグのサウサンプトン内定FW、U-19日本代表の高岡伶颯(3年)を擁する日章学園(宮崎)が敗退した報も知った。 「うちらにもチャンスがあるということ」。今回16強入りで、帝京大可児としては17年度と20年度に並ぶ過去最高タイの3回戦に駒を進めたが、もちろん先を見据え「学校の歴史を塗り替えるベスト8ではなく、日本一になりたい。高岡選手はすごく速かったし、南(創太)選手(J2ベガルタ仙台内定)もいた日章さんが負けていてビックリしたけど、自分に得点王、チームに優勝のチャンスがあると思いたい」と、より闘志をほとばしらせた。 年明け2日の3回戦で、高円宮杯U-18プレミアリーグEASTの前橋育英(群馬)に挑む。 「前育さんはとても強い相手だけど、プレミア勢と対戦できるので楽しみ。勝てれば本当に上が見えてくると思う。自分の数字をしっかり意識して、まずは先制点を奪いにいきたい」 卒業後は、関東大学1部で史上初の無敗優勝を達成した明治大(明大)へ進学希望。得点のバリエーションが多いマンチェスター・シティーFWハーランドに憧れ、将来は世界で活躍することを思い描く通算150発超ストライカーが、高校最後の冬、日本一決定戦の主役になる。【木下淳】