子どもの命を守る“最後の砦” 小児集中治療室「PICU」に密着 広い北海道に唯一の施設
PICU全国に36か所 北海道は札幌に1か所のみ
代表的なのはICU、新生児のためのNICUなど、患者の年齢によって区分されています。 PICUは新生児から子どもが対象の「小児集中治療室」。 ただ、全国に36か所しかなく、北海道には札幌の1か所のみ。 歴史も浅く、その整備は十分とは言えません。
函館からヘリコプターで緊急搬送 心臓の一部が小さい難病
坂見優歌ちゃんも函館から札幌のPICUに運ばれてきた男の子です。 4人兄弟の末っ子として生まれましたが、心臓の一部が小さい左心低形成症候群という指定難病が見つかりました。 (小児集中治療科 市坂有基医師)「生まれてから心臓の生まれつきの病気が見つかって、地元の近隣の病院では手術をする施設がないということで、ヘリコプターで緊急搬送になっています。検査でどのような心臓の病気なのか正確な判断を付けたうえで翌日手術をしています。ちょっと起きていますね」
手術から15日。 (看護師)「見えますか?顔」 (優歌ちゃんの両親)「見えます」 (看護師)「声しっかり聞こえているみたいで反応しますね。話しかけてあげたら目を開けるかも。優歌くん」
画面越しでもわかる優歌ちゃんの成長。 両親もひと安心です。 札幌のPICUは3人の小児集中治療の専門医を中心に、24時間体制で患者を見守り続けています。 つかの間の休憩時間に、同僚の心臓の専門医がこんな本音をー (小児心臓血管外科 浅井英嗣医師)「市坂はバランスがいいですね。例えば1人の患者さんがいて、心臓が悪くてかつ呼吸の気道が悪いとなると、俺たち(心臓血管外科医)は心臓のことしか考えていないから耳鼻科と調整してくれて。患者さんに一番いいマネジメントをトータルで見れるのが集中治療医」
子ども60万人に対しわずか6床 “かなり異常な状態”
年間250人が札幌のPICUで治療を受けますが、同時に受け入れられる子どもは、たった6人です。 (小児集中治療科 市坂有基医師)「一般の病棟と比べると看護師さんの人数が多いと思うけど、いまの状況だとギリギリで回っている状況」 これまで全国のPICUで子どもの命と向き合ってきた市坂さんは、北海道ならではの課題を訴えます。