地震などの災害に役立つ最新キャンピングカー用品。簡易トイレやポップアップルーフに熱視線
ほかにもスカイデッキには、ボタンで操作できる電動開閉システムも装備。また、スマートフォンやタブレットを使い、車外から操作することも可能。従来のポップアップルーフにはあまり採用例のない、高い利便性も注目だ。なお、製品は、車種別対応となるが、対応車種と同じモデルであれば、コンプリートカーだけでなく、普通のクルマに後付けすることも可能なのだという。 ■アウトドア以外に災害も想定して開発 同事業部の担当者は、スカイデッキを開発した背景に、近年、「キャンプなどのレジャーだけでなく、被災時の避難方法としても車中泊が注目されている」ことを挙げる。そうした傾向からポップアップルーフ装着車も、キャンピングカー用の装備としてのみならず、災害時に役立つ装備としても人気が高まっているのだという。
こうした傾向は、例えば、能登半島地震の直後も、自家用車を一時避難所として活用した被災者がいたことでもわかる。大人数が集まる避難所よりも、クルマの中での一時避難を選んだ人も多かったようだ。しかも、これは、今回の震災時だけに限らない。近年増えている線状降水帯などによる水害や崖崩れといった災害時にも、そうした車中泊派の避難者も増えていることをよく耳にする。 そして、そのような非常時に、もしポップアップルーフ装着車があれば、「普通のクルマで車中泊するよりも、広くて快適なスペースで寝泊まり」できる。そうした背景もあり、同事業部は、より量産が可能で、多くの需要に対応できるスカイデッキを開発。しかも、メタル製は、前述のとおり、従来モデルより軽く作れる。重いものを持ち上げることが苦手な女性などでも、楽に開閉操作ができることもメリットだ。製品化が進んでいけば、より幅広い層がポップアップルーフ装着車を選べるようになることが予想できる。
同事業部では、今後、国産車の人気ワンボックス車やミニバンを中心に、車種別の対応モデルを製作し、まずは、2024年夏頃に2モデルをリリースする予定。その後、対応車種を徐々に広げていく方針だ。 ■キャンピングカーから防災対策へ 13年前の東日本大震災や8年前の熊本地震、今回の能登半島地震など、甚大な被害をもたらす震災が多い日本は、まさに「地震大国」。また、近年は、線状降水帯の発生による水害なども多く、誰もが「いつ何時、被災者になるのかわからない」状況だ。そうした危機感からだろう。ここで紹介したようなアイテムをはじめ、キャンピングカーなどを本来のレジャー目的だけでなく、防災対策としても活用する傾向は増えている。まさに、「転ばぬ先の杖」として、今後もこれらが多くのユーザーに注目されることが予想される。
ちなみに今回のショーで、先に紹介した新型ポータブルトイレのクレサナは、トイファクトリーだけでなく、ホワイトハウスキャンパーでも展示していた。この製品は、前述のとおり、スイスの企業であるクレサナ社が開発した輸入商品。同事業部の担当者によれば、「たまたま(トイファクトリーと)同時期に輸入を開始した」のだという。つまり、国内で複数の代理店が取り扱うということだ。それは、見方を変えれば、それだけ利便性に優れており、注目の商品であることの証しかもしれない。なお、ホワイトハウスキャンパーが取り扱うクレサナ本体も、丸型ベースとL型ベースがあり、本体価格(税込み)は26万9500円だ。
平塚 直樹 :ライター&エディター