「自分が、自分が」という人には要注意! 信頼できる人と信頼できない人の見極め方
【ToDo③】「人に与えることへの抵抗」を乗り越える
とはいえ、「ギバーになるのは難しい」とあなたは思っているはずです。 アドラーは、人を信頼する、人に貢献するのに、「見返り」を求めてはいけないと言います。アドラーの本を読むと、理解はできるのですが、実際に「見返りを求めずに、人に与え続けること」は、非常に難しいし、心理的抵抗がある人も多いでしょう。そうした心理的抵抗のせいで、多くの人はギバーになれません。 見返りが一切なくても、誰も認めてくれなくても、 あなたから始めるのだ。 ― アルフレッド・アドラー( オーストリアの心理学者) また、ペンシルベニア大学ウォートン校のアダム・グラント教授によると、人の特性は次の3 つに分類できると言います。 ・「ギバー(Giver /与える人)」 ・「テイカー(Taker /受け取る人)」 ・「マッチャー(Matcher /帳尻を合わせる人)」 この3つの特性の中で、最終的に最も成功するのはギバーであると結論を出しています。しかし、「すべてのギバーが成功できるわけではない」というのです。 「成功するギバー」と「燃え尽きるギバー」がいます。「燃え尽きるギバー」は、自分の時間とエネルギーを割いて、そのツケを払う人。与えることに燃え尽きてしまい、長く続かないのです。 たとえば、「友人の相談に乗っていて、講義に出られなかった。勉強できなかった」といったパターンです。あるいは、ボランティア活動も、自分の収入や自分の精神状態が安定しないと、長続きしません。 テイカーが「利己的」で、成功できないギバーが「自己犠牲的」なら、成功するギバーは「他者志向的」と言えます。 他者志向とは、受け取るより多くを与えても、決して自分の利益は見失わず、それを指針に「いつ、どこで、どのように誰に与えるか」を決めることです。 「ギバーになろう!」「見返りを求めずに人に与えなさい」と言っても、イエス・キリストのように完全な「自己犠牲」は私たち凡人には無理なのです。 「他人を思いやる」のと同様に、「自分自身の健康」や「自分の精神状態」への思いやりを忘れてはいけません。 あるいは、自分の「楽しい」「嬉しい」といった率直な感情は、「見返り」には相当しません。自分の中から湧き上がるものであって、「相手から受け取る」ものではないからです。 後輩にご飯をおごってあげて「楽しい!」と思ったとすれば、楽しかったから「またご飯をおごってあげよう」というのは、「利己的」にはあたりません。どんどんやっていいのです。 「他者利益の追求」と「自己利益の追求」は両立できるのです。 自分の「楽しい」「嬉しい」「おもしろい」といったポジティブな感情も「自己利益」なのです。 「人に与える」のはやせ我慢ではなく、楽しみながら、喜びを感じていいのです。そう考えると、あなたも「ギバー」になれそうな気がしませんか。