"同世代の少女"名乗る人物に「性的な画像」送る→「金払え」とゆすられて…男性も標的になる「セクストーション」の深刻被害
●社会人になって日が浅い世代が最も多い
――男性の場合は「相手のエッチな画像が見られてラッキー」と思ってしまうことで、被害に遭う人が多いのでしょうか? 秦地:女性は「どうしよう、本当はイヤだけど相手に嫌われたくない」と苦しみながら性的な画像を送ってしまうことが多いのですが、男性は、外国人女性とセクシャルトークできることに興味をもってしまう人が少なくありません。 また、自分が性的対象になることに対する意識・感覚が、女性に比べて薄い傾向があります。あくまで性的対象になるのは女性で、オンライン上の性的なやりとりを簡単に考える傾向もあります。 実際に脅されて金銭を要求されて、そこで初めて何が起きているかがわかり、パニックになるようです。 ――被害に遭う年齢のボリュームゾーンは、何歳ぐらいでしょうか? また、2024年はどれくらいの相談があったのでしょうか? 秦地:ゾエ・ジャパンにアクセスしてくるのは15、16歳の子もいますが、18歳から、23歳くらいの世代が最も多いです。 オズボーン:2024年、現段階で、セクストーションは72件の相談がありました。男性は10代が15件、20歳以上が50件でした。女性は10代が2件、20歳以上が5件となっています。 ――加害者側はどれくらいの金額を要求してくるのでしょうか? 秦地:若年者の場合、「電子マネーで2万円送れ」など、払えそうな金額が要求されることが多いです。中には全額は無理だけど、5000円だけ払ってしまったという被害者もいました。 20歳以上になると一桁あがって10万円、20万円と要求されることが多いようです。同じ加害者から複数の被害者がターゲットにされ、合わせて数百万円要求された人もいました。加害者側でパターンを決めて、まず数万円要求し、もっと取れそうだと踏んだらエスカレートするようです。
●被害を防ぐために、親子で性を語れる環境作りをしてほしい
――相談を受けた相手にどんなアドバイスをしていますか? また相談を受けて、どんなアクションをしていますか? 秦地:被害者は死を考えるほどの苦しみを抱えているので、まず「あなたは悪くない」と伝えます。そして、一度金銭を払ってしまうと、どんどん要求してくるので、絶対に金銭の支払いをしないようにアドバイスしています。また、信頼できる友人がいるなら、その友人には本当のことを話して、「自分の性的な写真を目撃したら連絡してほしい」と伝えることをすすめています。 未成年は「親に言えない」と悩んでいる人も多く、「被害者はあなただけじゃないし、あなたは悪くない。お父さん、お母さんは最初驚くかもしれないけれど、あなたを一番大切にしてくれる人だから、どうにか助けてあげたいと思うはずだから」と親の視点に立ったアドバイスをしています。 オズボーン:追い詰められて最悪の決断をしないように「一緒に解決方法を考えていきましょう」と伝えたうえで、公開を許可していない性的画像を削除するサイトにコンタクトを取って削除を要請します。 しかし、もうすでにネット上で画像が公開されている場合は、インターネット・ホットラインセンターにも連絡しています。 裸ではなく服を着た写真を送っただけで、ディープフェイクによって、性的な動画を作られた人もいます。ネット上に自分の情報をどこまで載せるのか。学校の制服姿の写真を載せることなども実はリスクがあります。 また、小さなお子さんがいる方は、自分が気を付けていても、友だちが自分の写真や学校名、地域の情報などを投稿してしまうこともあるので、コミュニティ全体で気を付ける必要があるとアドバイスしています。 秦地:相談を受けたときはパニックに陥っていても、解決の糸口がわかって落ち着いた被害者には「性と尊厳は深く結びついている」ということを伝えています。 性の問題は、親に相談するのは気まずいので、ネットで知識を仕入れてしまい、歪な性認識を持ってしまう子どももいます。だから、親世代には、子どもが性のことを相談できる関係づくりを日ごろからしてほしいと思います。 そして、性はネガティブなものではなくて、人生を豊かにするものだというポジティブなイメージを持つことも合わせて、子どもに教えてあげてほしいと思っています。