トランプがハリスとの2回目のテレビ討論会を拒否する「本当の理由」
カマラ・ハリス米副大統領(以下、初出以外敬称及び官職名略)とドナルド・トランプ前大統領による1回目のテレビ討論会が9月10日に開催された。その討論会の結果を巡って、日米で認識のズレがあるようだ。日本では「ハリス優勢」の一方、「勝敗は関係ない」などといった声もあるが、米国世論は明確に「ハリス勝利」とみている。 本稿では、テレビ討論会の勝敗に関する各種世論調査の結果を紹介する。また、討論会の終了直後のトランプの行動に注目する。その上で、なぜトランプがハリスとの2回目の討論会を拒否しているのか、本当の理由について考える。
ハリスの「勝利」
ハリスとトランプによる1回目のテレビ討論会の後、米議会専門紙ポリティコは「明らかな勝者ハリス」という見出しを付けた。各種世論調査の結果をみても、テレビ討論会におけるハリスの勝利は明白だ。米CNNの世論調査(9月10日実施)によれば、登録した有権者の63%がハリスのパフォーマンスがトランプを上回ったと回答し、逆にトランプのパフォーマンスが良かったと答えた有権者は37%に止まった。 ロイター通信と調査会社イプソスの共同世論調査(9月11~12日実施)では、両氏のパフォーマンスの出来ではなく、勝者はどちらかと尋ねたところ、53%がハリス、24%がトランプを挙げた。トランプはハリスを約30ポイントも下回った。 また、米ABCニュースとイプソスの共同世論調査では、58%が、ハリスが討論会で勝利したと答え、トランプと回答した有権者は36%であった。こちらの調査でも、トランプはハリスよりも約20ポイント低かった。 ハリスは、討論会の翌日から選挙運動を再開した。南部ノースカロライナ州と東部ペンシルベニア州の集会では、ハリスが会場に姿を現すと、これまでのようにビヨンセの楽曲「フリーダム」が流れたのだが、演台に立つまで曲の音が聞こえないほどの大歓声が起こった。ハリス旋風は、確実に続いていると言える。