韓国・尹大統領「非常戒厳」発令から解除までの経緯 背景に支持率低迷や夫人疑惑も
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、「非常戒厳」を宣言したが、韓国の国会は直ちに「解除要求」を決議して解除された。 【画像】韓国史上初めて罷免された大統領 2017年の朴槿恵氏
■「非常戒厳」で韓国混乱 発令から解除までの経緯
「非常戒厳」出された経緯を見ていく。 尹大統領は韓国全域に「非常戒厳」を宣言。これを受けて、戒厳司令部は一切の政治活動を禁止し、言論や出版を統制するなどと表明した。 与党「国民の力」のハン・ドンフン代表は「戒厳令の宣言は間違っている。国民と共に阻止する」との声明を発表。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は「違憲で反国民的な戒厳宣言」だと批判し、国民に国会に集まるよう呼び掛けた。 その結果、戒厳令に反対する市民が多く集まり、警官らと衝突した。 そして、戒厳司令部の軍人らが出入りを統制するなか、4日未明、尹大統領を支える与党も含めて本会議場に集まった国会議員190人全員が賛成し、「解除要求」が決議された。 午前5時ごろ、尹大統領が「非常戒厳を解除する」と発表し、軍も国会から撤収させた。
■ねじれ国会や支持率低迷…尹大統領、追い込まれ窮地
尹大統領は、議会選挙で敗れるなどして追い込まれていた。 4月の総選挙で与党が大敗し、現在は最大野党「共に民主党」が170議席で、与党「国民の力」は108議席にとどまっていて、野党が過半数を占める「ねじれ現象」が続くことになっていた。 支持率も低迷を続けていて、世論調査会社「韓国ギャラップ」が11月29日に発表した調査では、尹大統領を「支持しない」という人は72%。「支持する」という人は19%となっていた。 支持率が低迷するなかで、尹大統領に退任を求める声が続々と上がった。 尹大統領の母校・ソウル大学の教授ら525人が「税収減や経済成長率の下落など政府の度重なる失政の根本には、権力の私物化と乱用がある」として、11月28日に「民主主義を拒否する大統領を拒否する」と辞任を要求した。 さらに「朝日新聞デジタル」によると、弾劾訴追を求める請願の賛同者は7月時点で100万人を超えていたという。