Google「AI Overview」の登場でSEOは何が変わった? AIが検索順位に与える影響と今やるべきこと
AI Overviewでは、検索者が探している“質問への答え”がGoogle検索画面内でズバリ表示されるので、外部サイトへ遷移する必要性は薄まる。よって木村氏は「ゼロクリック検索は100%増えると思う」と説明する。
結果として、Google検索から一般のサイトへの送客がトータルでは減少する。中でも、Informationalクエリ───情報を求めるタイプの検索は特に減少すると木村氏は分析。対策として以下の2案を示した。 1. SEO以外の送客元を考える 2. 減少する枠を必死で取りにいく 検索上位獲得の対価にAI Overviewへの掲載が加わる以上、SEOはより熾烈になるとみられる。検索エンジンからではなく、SNSやその他一般サイトからの流入増のために、各種施策を実施するのも1つの手段だろう。他方、Amazonや楽天といった著名サイトは指名検索による流入が相当数あるため、AI Overviewの影響はほとんど受けないだろうと木村氏は補足する。 ┌────────── ただ現実問題として、ビジネスの現場において「SEOを諦める」という話にはならないでしょう。AI Overviewに出るためのSEOと、オーカニック検索のためのSEOを同時にやっていくのがほとんどのはず(木村氏) └──────────
何が検索上位表示に必要か、改めて解説
では、「AI OverviewのためのSEO」と「オーガニック検索のためのSEO」が並立する時代に、どうすべきか。まず木村氏は対策の前提として、Webの内容・構造のうちSEOへ影響が大きいとみられる要素を、以下4つのポイントに分けて列挙した。 ■ 1. コンテンツ ・検索上位のページは、HTMLのtitleタグに、該当する検索キーワードが含まれている ・日本においては、1ページあたりの文字数が多いページの方が検索上位になりやすい ・ECサイトでの買い物など、なにか行動を起こすために検索する「Transactionalクエリ」においては、画像が多いページほど検索上位になりやすい。なお、Google検索は画像の中身を理解・判別していることを公言している ・ページあたりのキーワード数は多い方がよい。これはトピックがよりわかりやすくなるためと考えられる ・Transactionalクエリでは、大規模サイトの方が信頼性が高いとみなされる可能性が高く、結果としてサイト全体のindex(インデックス)の数は重要 ・Googleの発言などを総合すると、サイト内の規模に対して、キーワードを含むページの割合が多い方が、“専門性の高いサイト”と判断される可能性が高そう ■ 2. 被リンク/サイテーション ・ページへの被リンクが多い方がSEOでは明らかに優位 ・同じく、被リンクドメインの多さもSEOでは重要 ・特定ページへの被リンクの多さは重要だが、サイト全体に被リンクが多いかも重要 ・リンクされているかにかかわらず、オンライン上でなにかしらのかたちで発言・言及されているか(メンション)は、TransactionalクエリのSEOに影響する ・自社サイトから外部サイトへのリンク(発リンク)も多い方が優位。かつては「外部にリンクするとパワーが流れる」的な言説があったが、木村氏によれば近年そうした傾向はない。必要な外部リンクは用意すべき ■ 3. User Experience(ユーザー体験) ・極端にサイト表示スピードが遅いサイトは、検索上位に表示されない ・直帰率が高いサイトは上位にならない ・PV数が少ないサイトは上位にならない ・サイト平均滞在時間の長いサイトが優位。特にTransactionalクエリで顕著 ・1ページあたりの平均滞在時間の長いサイトが上位になりやすい。短いとほぼ上位にはならない ■ 4. Crawler Experience(クロール体験) ・たとえば、1000商品を扱うECサイトがあったとして、それが検索クローラーによってすべて判読されていなければ、“1000商品を扱うEC”とは見なされない。Transactionalクエリにおいては、サイトの規模がSEO的にも重要とみられるため、Googleに正しくクロールしてもらうための準備・設定は徹底すべき ・Googleが指摘する「構造化データ」は、Webサイトをすばやく、容易に判別する上で重要。ユーザー利便はもちろん、Google側の作業負荷が減る点でも好影響を与えそう