イスラエルの若者が“兵役拒否”したワケ…「命を守るため。今すぐ停戦を」
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止をめぐる交渉が大詰めを迎えている。こう着状態に陥った戦闘の行方について、イスラエルの人々はどう見ているのか。かつて反戦を訴えて兵役を拒否した、ネーブ・シャブタイ・レビンさん(20歳)に話を聞いた。 イスラエルでは男女ともに、18歳になると徴兵される。ネーブさんは2年前に兵役を拒否し、懲役刑を受けて130日間、収監された。オンラインインタビューは4月26日に行われた。
■“道徳やモラルにも反する”…それでも兵役を拒否したワケ
――なぜ兵役を拒否したのですか。 イスラエルでは18歳になると徴兵され、数年間を国のために捧げるというナラティブ(物語)があります。しかし、私はパレスチナの占領がもたらす流血と憎しみの連鎖を続けるためには戦いたくなかった。平和のために闘いたかったんです。 ――何かきっかけがあったのでしょうか。 私にとっては「多くのパレスチナ人と知り合ったこと」がターニングポイントでした。“イスラエルという国が彼らを抑圧することで成り立っている”と気づいたんです。イスラエル人とパレスチナ人には、政治がもたらす大きな隔たりがあります。私たちが彼らと会って話す機会はほとんどありません。しかし、実際にヨルダン川西岸で起きていることを目の当たりにすれば、誰もが占領に疑問を持つようになるでしょう。 ――イスラエル社会で「兵役拒否」は、どのような影響がありますか。 軍隊というシステムは、イスラエル社会の核になっています。イスラエルで生まれ育てば、“軍隊に入って戦闘任務に就くことが最も道徳的で崇高だ”という考えを持つようになります。つまり、兵役拒否は法律に反するだけでなく、道徳やモラルにも反することになるんです。だから簡単な決断ではありません。しかし、それは平和と平等に向けた闘いの中で、とても重要なことなんです。
■暴力では問題解決できない…「和平達成のターニングポイントに」
――ガザ地区での軍事作戦をどのように見ていますか。 もし私が兵士としてガザ地区に行ったとしたら、胸が張り裂けるような経験をしただろうと思います。兵士はガザ地区に破壊と混乱をもたらすだけです。軍隊は暴力を継続させるだけで、政治的な問題を解決することはできません。 ――ネタニヤフ政権をどのように見ていますか。 ハマスを破壊したいのなら、政治的な手段をとるべきです。戦争はハマスを成長させるだけです。イスラエル政府は、死と悲しみの連鎖を続けています。いつか平和に暮らせる日が来ることを望むなら、今すぐ戦争を止めなければいけません。そのために、権力を握っている人たちを入れ替える必要があると考えています。 ――戦争を止めるためには、どのようにすべきと考えますか。 今すぐに停戦と人質交換に合意し、戦争を終わらせなければいけません。しかし、それだけでは不十分です。私は、この戦争を“最後の戦争”にする必要があると思っています。イスラエルが公平で恒久的な和平を積極的に達成しようとするターニングポイントにすべきです。それこそが、去年10月7日にイスラエル人が目にした惨劇(ハマスによる襲撃)を二度と起こさないようにする唯一の方法なのです。 ――国際社会に何を求めますか。 戦争を終わらせたいのならば、「イスラエル政府」や「ハマス」ではなく、パレスチナ人やイスラエル人を支援しなければいけません。そして、パレスチナを正当な国家として承認していない国や、イスラエル軍と取引関係のある国に働きかける必要があります。それこそが、今、起きている狂気を止める最善の方法です。