世界遺産登録から4年 なのに知られていない!? 函館の縄文遺跡の魅力と課題 「縄文レストラン」って何だ?
前田記者:「かわいい!サメ?」 函館市縄文文化交流センター学芸員・前田正憲さん:「いやいや、シャチです」。 前田記者:「すごく精巧に作られていますね」。 この「シャチ」を発掘した、学芸員の前田正憲さんに案内してもらいました。「大珠」と呼ばれるヒスイの首飾り。ヒスイの産地・新潟県糸魚川市から持ち込まれたと、考えられています。 学芸員・前田さん:「ヒスイを持ってきた人は、この地方の何が欲しくて持ってきたのかということです。ここ(南茅部地区)の産物と言えば?」。 前田記者:「コンブ?」。 学芸員・前田さん:「ですね」。 館内には、他にも本州との行き来を示す漆塗りの土器などが数多く展示されています。そして、この施設の目玉も。
国宝・中空土偶。「南茅部」で発見された「中空土偶」ということで、愛称は「茅空(カックウ)」。中が空洞の土偶としては、国内最大です。顔の特徴から、「茅空」も東北から渡ってきたと考えられています。 学芸員・前田さん:「本当は時々少し動くんですよ」。 前田記者:「えっ、嘘!?」 学芸員・前田さん:「冗談です。右足が少しだけ前に出ているんですね」。 前田記者:「あ、本当だ。ちょっと前に出ている。本当に動き出しそう」。 博物館のすぐ裏に広がるのは、「垣ノ島遺跡」。ここでは、縄文人の精神性に触れることができます。
垣ノ島遺跡ガイド・濱田鉄也さん:「長さが190mで、幅が120m。高低差が2m以上で国内最大規模の盛り土遺構になります」。 横から見ると、少し盛り上がった部分が。ここから、膨大な量の貝殻や動物の骨、土器などが出土しています。 濱田さん:「捨て場というよりは、感謝をして(自然に)お返しする。魂の送り場、自然との対話を行う祭祀場という位置づけなんですね」。 食べ物や日用品を埋めて造られた、コの字型の盛り土遺構。中央部分では、宗教的な儀式が行われていたとみられ、そこに向かって真っすぐ南北に延びる道も造られていました。 濱田さん:「縄文人は食材にしろ、道具の材料にしろ、全て自然の恵みによって生かされている。もしかすると縄文人は我々に対するメッセージとして、考えさせるメッセージとして、この巨大な物を残したのかもしれないなと思うとロマンを感じますね」。 ただ、縄文遺跡を訪れる人の数は、伸び悩んでいます。国宝・中空土偶が展示されている函館市縄文文化交流センターの来訪者数は、世界遺産に登録された翌年をピークに減少傾向です。