【鎌倉・長谷エリア】能舞台の中で一服も。雰囲気が良すぎる名建築カフェ5選
歴史的建造物や築100年を超える古民家、能舞台の中など、歴史ある街にふさわしい美しい空間を生かしたカフェが鎌倉の長谷エリアに増えています。注目のお店を紹介します。
1. 鎌倉 北橋
鎌倉文学館をはじめ、洋館がいくつも立つ長谷の旧市街。その一角、谷戸の住宅街に100年以上残り、「加賀谷邸」と呼ばれ親しまれてきた景観重要建築物がある。設計や施工の詳細は不明ながら明治時代後期に建てられた邸宅で、戦後の一時期には小説家の山口瞳が家族と共に移り住み、近隣に暮らす川端康成も足繁くここに通っていたとか。
2階以上の高さを持つ1階建ての洋館部に和風の母屋が接続し、南向きの縁側や窓から広い庭園を望む。建物や建具をなるべくそのまま残しながら一般に開かれた場所に、という願いが、蕎麦とコーヒーを提供する店〈北橋〉として結実。2024年6月に新規オープンとなった。敷地入り口から右手の庭側へ回り洋館部の扉を開けると、高い天井からシャンデリアが下がり、カウンター奥には蕎麦打ちの部屋がガラス越しに見える。壁を塗り、床を組み、暖炉も残したカフェスペースを、東京・原宿にロースタリーを構える〈NOZY COFFEE〉のコーヒーの香りが満たす。シングルオリジンのスペシャルティコーヒーから、現在はコスタリカの豆が選ばれ、水出しコーヒー、エスプレッソドリンク、アフォガード、コーヒーゼリーとして提供される。
敷地入り口すぐ、暖簾が揺れる玄関は蕎麦の客専用。奥に伸びる和の空間は、庭園を眺めながら、店主の北橋悠人さんが丹精した打ちたての蕎麦を味わえる贅沢なしつらえだ。全国から殻付きのまま届く蕎麦の実を、殻を剥いて挽き、毎朝数時間かけて手打ちする。蕎麦は常時3種類を用意し、産地ごとの食べ比べもできる。もり、かけ、ぶっかけ、生粉打ち、玄挽き、温かい蕎麦に一品料理などが、アラカルトや、昼、夜それぞれの蕎麦会席として供される。
「コーヒー一杯、蕎麦一枚からぜひ」と店主。蕎麦とコーヒーをハシゴして、余すところなく堪能したくなる魅力的な空間だ。 生粉打ち1,200 円。この日は長野・松本産の奈川在来を十割で。本枯鰹節と宗田節でだしを引き、長野産醤油を使ったかえしと合わせたつゆ、蕎麦農家が育てた辛味大根とともに。日本酒は1 合950 円~。焼酎、ワイン、ビール、ノンアルコールの飲み物も。蕎麦会席は昼2,800円~、夜6,600円~。