「円に換金せず、別の仮想通貨へ交換した場合」も課税対象…税務署に「仮想通貨の脱税」がバレるワケ【税理士が解説】
仮想通貨取引の利益も「確定申告」が必要
仮想通貨取引で一定以上の利益を得た場合は、確定申告をしなければなりません。 ■仮想通貨取引の利益は「雑所得」扱い 仮想通貨取引で得た利益は、原則として雑所得に区分されます。会社員の場合など、給与所得を得ている人が仮想通貨取引を含む年間20万円を超える雑所得を得た場合、所得税の課税対象となり、確定申告が必要です。 ■仮想通貨で利益が発生するのは売却時だけではない点に注意 仮想通貨で利益が発生するのは、仮想通貨を売却し、換金したときだけではない点に注意が必要です。仮想通貨で利益が発生する主なタイミングは、次の3つです。 (1)仮想通貨を売却した場合 (2)仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合 (3)仮想通貨を使って商品やサービスを購入した場合
仮想通貨取引による所得額の計算方法
仮想通貨取引による所得額の計算方法は、利益が生じた理由によって異なります。 <仮想通貨の売却による所得額の計算> 仮想通貨を売却し、円に換金した場合の計算方法は次の通りです。 【仮想通貨の売却価額 - 仮想通貨1単位あたりの所得価額(手数料込)×数量】 <他の仮想通貨に交換した場合の所得額の計算> 仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合の所得額は次の計算式で求めます。 【新たに交換する仮想通貨の時価-保有している仮想通貨の取得価額】 <仮想通貨を使って商品やサービスを購入した場合の所得額の計算> 所有する仮想通貨を商品やサービスの購入費用に充てた場合の所得額は、次のように計算します。 【購入商品・サービスの価格-仮想通貨の1単位あたりの取得価額×数量】
仮想通貨取引で脱税を指摘されたら、どうなる?
仮想通貨取引で得た利益の確定申告を行わず、正しく納税をしていない脱税の状態を税務調査で指摘された場合、次のようなリスクが発生します。 ■多額の追徴課税がなされる可能性がある 追徴課税とは、本来納めるべき税金の差額や正しく納税を行わなかった場合に課せられるペナルティ分の税金のことです。仮想通貨取引で利益を得ていたにもかかわらず、確定申告をしていなかった場合に加算される税金には次のようなものがあります。 ・無申告加算税: ⇒期限内に確定申告をしなかった場合に課せられる税金です。無申告加算税の税率は、納付すべき税額の50万円までの部分は15%、50万円を超える部分については20%となります。ただし、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到達するものに関しては、50万円までは15%、50万~300万円までの部分は20%、300万円を超える部分には30%が加算されます。 ・延滞税: ⇒延滞税とは、期限内に確定申告をしなかった場合に、利息に相当する額が自動的に課されるものです。税率は、納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までと2ヵ月を経過した日以降で異なります。納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までの税率は、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は年2.4%です。しかしながら、2ヵ月を経過した日以降は税率が年8.7と高くなります。 延滞税は、法定納期限から納付が完了する日まで課せられるため、納税が遅れれば遅れるほど延滞税の負担額は大きくなるという点に注意が必要です。 ・重加算税: ⇒仮装や隠蔽があった場合などは、無申告加算税に代えてより重い税率の重加算税が加算されます。無申告加算税に代わる場合の重加算税の税率は、本来納めるべき税額の40%となります。 ■有罪が確定すれば刑事罰が科される 脱税が発覚した場合、刑事告発がなされ、検察官の捜査によって脱税容疑が強まれば逮捕に至る可能性もあります。起訴後、裁判で有罪が認められれば、所得税法違反となり、追徴課税の処分に加え、懲役や罰金といった刑事罰も科されます。 仮想通貨取引で得た利益を正しく申告せず、脱税の罪が確定した場合には、犯罪者として大きなリスクを背負うことになるのです。