“Jリーグ最強の企画屋“に聞く「地域とスポーツのしあわせな関係」(下)
4年後、成長した形で
大枝 参加者の方の質問をいくつか聞いてみましょう。サッカーの観戦スタイルは、ヨーロッパ型とアメリカ型がありますけれども、フロンターレが目指すものっていうのはあるんですか。 天野 それは、どっち寄りかといったら絶対にアメリカ型でしょうね。ヨーロッパも視察には行きましたが、アメリカの良さを日本型に応用する、いかに日本のスポーツに合うようにするかっていうところなんですけど。 大枝 具体的にはどういう違いがあるんでしょうか。 天野 アメリカ型は「スポーツは最大の娯楽」という考え方。ヨーロッパもファミリー層を取り入れるための施策などをやってはいますが、歴史的背景がすごく大きくて。 大枝 ヨーロッパ型は地域の代理戦争のようなところもありますね。 天野 そうそう、生まれがどうかというのも結構大事だから。それを考えると、日本の文化に合うのはアメリカの方だと僕は思います。 大枝 よくフロンターレサポーターはブーイングしないだの、ぬるいだの甘いだの言われますけど、この間の新体制発表会見の時に、藁科義弘社長も「我々自身が皆さんと一緒に楽しむ、元気になるんだと、勝つのはそれを実現するための手段だ」って言ってましたね。 天野 やっぱり勝つことを目的にしちゃうと、絶対っていうのはないし、勝ち続けちゃうとそれはそれで面白くなかったりする。負けも含めて愛してもらうことがすごく大事。それがスポーツだから。強化部の最大のミッションは勝つことですよ絶対。ただ、自分たちがみんなを幸せにするために勝ちたいんだ、と思えるかどうかがすごく大事で。クラブの存在意義は、絶対に街の人を、ホームタウンを幸せにするっていうことにないと。 大枝 次の質問です。「アマノイズム」の引き継ぎはできてるんですか。 天野 「アマノイズム」っていうのはしっくりこないですが。スタッフのみんなには伝わっていると思っています。1月の最後にフロンターレの社員に向けて講演をやるんですよ。 大枝 2月からはオリンピック組織委員会の方になるんですよね。 天野 はい。 大枝 オリンピックが終わったら戻ってくるんですよね。 天野 はい。(会場拍手) 4年後どうなってるかって難しいですね。とにかくお互い成長した形で会おうよと。ダメダメなのを補修していく作業からスタートしたくないから、上積みされているところからね。 大枝 天野さんがいない間に面白いことやっちゃいましょうね、みなさん。 (齊藤真菜)