現存する世界最古のジュエラー「メレリオ」 15代目が語るメゾンの歴史の継承と未来への覚悟
メレリオ:現存する世界最古のジュエラーで創業家が経営を担っている点。4世紀以上の激動の歴史をその時代と共に歩んできたし、今後もそうしていく。われわれの看板には貴金属商、ビジュー、ジュエリーという表記がある。創業当時、ジュエリーはティアラなど権力の象徴であり、ビジューとは日常のおしゃれや侍女が楽しむ小さなジュエリーのことを指し、それら全てを制作していた。ラ・ペの店舗には50万点ものアーカイブ作品や台帳などがある。台帳を見れば、フランス革命直前もジュエリーを受注していたことがわかる。「メレリオ」は、その時代のコンテンポラリーを提案するジュエラーとしてモードの最先端を彩ってきた。
WWD:時代を彩ってきた象徴的なジュエリーとは?
メレリオ:18世紀にはアンティークカメオが流行り、当時マリー・アントワネットが侍女のためにオーダーしたジュエリーがある。それを買い戻したものがわれわれのアーカイブに残っている。19世紀、王政の崩壊後、1日に何度も着替えるのが貴族のファッションだった。ところが、フランス革命で貴族たちの財力が弱まり、装いに合わせてアレンジのできるジュエリーが生まれた。第二帝政時代には、ウジェニー皇后とナポレオン3世(NapoleonⅢ)の従妹がサロンを開き、ファッションやジュエリーを競うようになった。その時代を代表するジュエラーが「メレリオ」だった。このように、フランスにおけるジュエリーの歴史の最先端にいたのが「メレリオ」だ。
WWD:「メレリオ」にとってのコンテンポラリーとは?
メレリオ:グローバル化が進み、今ではファッショントレンドに時差はあまりない。だから、よりパーソナルな提案が重要だと考える。「メレリオ」では17~19世紀のスタイルへオマージュを寄せて現代風にアレンジしたジュエリーを提案している。 “ピエーリー”は19世紀のファッションを現代の装いにマッチするようにアップデートしたもので、“キャビネ ド キュリオジテ”は、さまざまなアイテムをパーソナライズして重ね付けするスタイルを提案。歴史のあるブランドだが、Tシャツやファーにハイジュエリーを合わせるなど、ビジュアルでもインパクトのあるコンテンポラリーな発信を行っている。