90歳の母が初期の認知症に。寿命が尽きるか、金が尽きるか…。故郷に移住を決めた娘は、入院中の母から「お前が来ても何の役にも立たない」と言われ
◆故郷にUターン その後、四半世紀勤めた会社を辞め、フリーの編集ライターとして生計を立てていた私は、打ち合わせや取材のときだけ上京すれば、後はリモートワークで何とかなるだろうと判断し(とは言え、ある種の覚悟は必要だったが)、東京からアクアラインを使って1時間半あまりのところに位置する故郷にUターン移住を決める。 だが……、待っていたのは予想を上回るほどの強烈な現実。 自制が利かない、人の都合などお構いなし、理屈が通用しない老父母の破壊力は驚くほどすさまじく、さらにはそこに叔父叔母夫婦まで参戦するのだから、身体がいくつあっても足りないどころか、日々爆発寸前の状態に追い込まれていく。 「高齢者を大切に!」 「老人は労りましょう」 なんてきれいごとを真に受けていたら、介護する側がやられてしまう。身体の衰えに反比例するかのように、わがままと憎まれ口が日々増していく老父母と浮世離れした叔父叔母を巡るやっかいな物語の幕が切って落とされたのである。 ※本稿は、『寿命が尽きるか、金が尽きるか、それが問題だ』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。
こかじさら
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