小島慶子「気づけば息子2人が成人に!子育ても人生も行き当たりばったり」
40年前、私たちの親の時代には【子どもがいる世帯は7割】でした。ところが今は【子どもがいない世帯が6割】。社会は大きく変わっているはず? ……と思いきや、給料は上がらないのに物価は上がり、男女の賃金格差と雇用格差はあいかわらず。暗くならざるをえない状況だけど、どうしたら少しでも豊かな人生を送れるのか、家族や友人たちとどう楽しい時間を持てるのか、小島慶子さんと考えていく連載です。 共働きなのに、夫の単身赴任で3年以上もワンオペ育児。妻の涙に限界を感じた夫が取った行動とは【漫画】 大学生の頃、“長期遠大計画”を立てるのが趣味だったという小島さん。けれどその計画の中で全く想定していなかったことも次々と起こりました。今回の「明日の空模様」は、一年を振り返って、計画通りにいかなかったな……と思う人や、仕事と家庭の歯車が嚙み合わないな……と悩む人へ、小島さんからの心強いメッセージです。
早いもので、今年も1年を振り返る時期。どうでした? 計画通りに物事が進んだ年でしたか。思うようにいかず焦っていますか。子育て中の人は、子どもの成長に合わせて人生計画を立てているかもしれませんね。 私はといえば、今年も思いもよらないことばかりで、しかしなんとか乗り切れたのでよしとするかという心境です。そんなことの繰り返しでここまで来て、気がつけば、息子たちが2人とも成人していました。なかなか感慨深いです。 私は大学生だった頃、よく「趣味は“長期遠大計画”!」と言っていました。人生は長く、無限の可能性に満ちているように感じられたのです。将来は放送局のアナウンサーになって、報道の仕事をして……などとあれこれ考えるのが楽しくてなりませんでした。 就活では運良く志望した職につけたものの、程なくしてジェンダーの壁にぶつかって悩み、人生樹海の迷子に。健康面では摂食障害(過食嘔吐)が悪化し、不安障害を発症し、薬剤アレルギーになりと、学生の頃には思いもしなかったことが20~30代で次々に起きました。 一方で、上司のすすめに従ってやりがいのある仕事に出会い、思いがけず大きな賞をもらって自信をつけることもできました。入社して3年ほど経った頃、テレビのバラエティ番組のノリに馴染めず悩んでいた私に、上司が「きっとあなたの財産になるから」とラジオの仕事をすすめてくれたのです。 人生の長期遠大計画では、全く想定していなかったことです。当時はとにかくテレビに出なければと焦っていたので、ラジオに時間を取られたら、キャリアの足踏みになってしまうのではないかと不安でした。 けれど上司の言葉通り、その経験はかけがえのない財産になったのです。自分のことは案外わかっていないものです。それからは、計画にこだわらず他人の視点を取り入れた方が道がひらけるかもしれない、と思うようになりました。