小島慶子「気づけば息子2人が成人に!子育ても人生も行き当たりばったり」
子育ては、この社会で最も支援を必要としている弱い立場のメンバー(子ども)を守り支える営みです。親性を重視する社会は、子どもだけでなく、ケアを必要とするすべての人(誰しもそこからスタートし、いつかはまたそうなります)が安心して生きていける社会といえるでしょう。 その視点に立てば、仕事がオモテで家事育児介護などのケア労働がウラ、仕事が優先すべきオオヤケで、ケア労働はそれより価値の低いワタクシゴトという線引きがナンセンスであることがわかります。当然ながら両者は地続きで、どちらも人が生きる場なのですから。 仕事のPDCAと、私生活のPDCAの歯車は噛み合わないものです。そしてどちらも思ったようには回らないものです。今年は足踏みしてしまったなとか、先の見通しが立たないぞと気が焦る時は、「そういうものだよ、だって生きてるんだから!」と声に出して言ってみましょう。体調を崩したり子どもに振り回されたりしてプランがぐちゃぐちゃになった時は「いいぞ、脳みそが鍛えられてる!」とつぶやくのもありです。 先のことを計画するのは大事。でも、柔軟に計画を見直すことはもっと大事。長期遠大計画は楽しい妄想で、実際は「人生の計は、この瞬間にあり」の繰り返しなのでしょうね、きっと。そんなわけで、私もあなたも今年もよく頑張った。来年も行き当たりばったりで、なんとかやっていきましょう。
【PROFILE】小島慶子
こじまけいこ・1972年オーストラリア生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、TBSに入社。アナウンサーとしてテレビ・ラジオ等で活躍。1999年にギャラクシー賞DJパーソナリティ部門賞を受賞。2010年にTBSを退社し独立。現在はエッセイスト、タレントとして活躍中。 2014年に家族でオーストラリア・パースに教育移住。自身は日本で働きながらオーストラリアとの間を往来している。著書に『絵になる子育てなんかない』(幻冬舎/養老孟司との共著)、『大黒柱マザー』(双葉社)、『おっさん社会が生きづらい』(PHP新書)ほか。東京大学大学院情報学環客員研究員。