欧州CSRD/ESRS適用対象外の上場企業が今すべき3つのこと
■①競合他社のサステナビリティ情報開示を確認する
競合他社のESG(環境・社会・ガバナンス)目標や施策、開示内容を分析することで、自社の現状を客観的に把握し、他社との差異や改善点を浮き彫りにできます。 競合企業の成功事例や課題を参考にすることで、効率的で効果的な施策の立案が可能となり、無駄のないサステナビリティ戦略を構築できます。 特に、法律に基づく開示項目(例:温室効果ガス排出量)について、競合他社がどのように取り組んでいるかを調査することで、ステークホルダーに対する説明責任を果たしやすくなります。 これにより、投資家や顧客からの信頼を向上させ、競争優位性を確立するための基盤を作ることが可能です。また、将来的な開示義務化に備えた移行準備も兼ねることができます。 筆者とお付き合いのある会社は、競合他社のベンチマーク分析をきっかけに、マテリアリティの策定、CDP(気候)への回答、Scope3の算定もしくは統合報告書の作成等を検討しています。
■②マテリアリティの策定もしくは見直し
マテリアリティとは、企業が事業活動を行う上で、特に優先的に取り組むべき「重要課題」を指します。具体的には、企業が社会や環境に与える影響の中で特に重要とされる課題や領域を特定し、ステークホルダーに対して明確に示すものです。これにより、企業は持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すことができます。 時価総額が比較的低い企業においては、リソース不足からマテリアリティの策定が遅れるケースも多いですが、これはリスクと捉えるべきです。 適切なマテリアリティを作成・開示することで、企業はESGに関する透明性を高め、投資家や顧客からの信頼を向上させ、企業価値の向上にも寄与します。 加えて、国際的なサステナビリティ開示基準の浸透に伴い、マテリアリティの策定と見直しは企業にとって不可欠な要素となっています。 サステナビリティ開示についてほとんど着手されていない企業は、まずマテリアリティの策定または見直しに取り組むことをお勧めします。 筆者の経験では、マテリアリティの策定には経営陣との協議や取締役会での議論を含め、1年前後を要する場合が多いです。加えて投資家などのステークホルダーの意見も考慮する必要があります。
■③EU以外の海外サステナビリティ開示に関するルールを確認
プライム上場企業がまず考慮すべきは、日本およびEUのルールです。しかし、日本およびEU以外の法域のルールにも留意する必要があります。海外にて上場しているグループ会社がある場合は特に注意が必要です。 ご質問やご意見がありましたら、ぜひオルタナ編集部までお寄せください。皆様の声をもとに、今後の記事内容にも反映させていきます。