【全米1位】約30人を容赦なくディス!エミネム“最新アルバム”の最狂っぷりを徹底解説
音楽の一ジャンルという枠を超え、もはやカルチャーとして世界中に根づきつつあるHIPHOP。掘れば掘るほど面白いその世界を、マルチリンガルの解説者・ショットガンダンディさんが徹底解剖。 【写真5点】「エミネムの魅力」を写真でチェック 初回は超レジェンド、エミネムの最新アルバムにフォーカスしよう。
新作はエミネムのオルタエゴを殺害するストーリー
はじめまして、ショットガンダンディ(ShotGunDandy)と申します。 普段はHIPHOPの楽曲のスラングやニュアンスを和訳して、YouTubeやXなどで解説しています。本場のHIPHOPをありのまま日本に届けることで、日米のパイプ役になるのが僕の夢です。そして、日本のアーティストが世界で羽ばたく手助けをして、シーンに少しでも貢献したいと思っています。 今回は2024年7月12日にリリースされたばかりのエミネムの最新アルバム『The Death of Slim Shady(スリム・シェイディの死)』について解説します。
スリム・シェイディ(以下、スリム)とは、主に90年代後半から2000年代前半にかけて一世を風靡したエミネムのオルタエゴ(別人格)。スリムとしてラップをしたりインタビューを受けたりするときは奇想天外な発言や行動をとることで知られています。 ほかのラッパーだけに留まらず、HIPHOP業界とは関係ないセレブや政治家、自身の母親や元カノですらも平気でディスってしまうようなめちゃくちゃな人格なのです。
アルバムに隠されたカラクリとは
タイトルの通り、今回のアルバムはエミネムがスリムを殺害するストーリーをラップで語る、というコンセプトがあります。それだけでも面白いのですが、エミネムはアメリカでもトップに君臨するラッパーのひとりであり、それだけで終わるはずがありません。 アルバムには全部で19曲収録されています。1から順に聴いて行くとエミネムがスリムに勝つストーリーになってますが、19曲から1曲まで順序良くさかのぼって聴くと、スリムがエミネムを殺害している話になるような、ものすごいカラクリが仕込まれていたのです。 細かく紐解いていくとすべてのリリックにすらも意味を持たせてしまっていて、ものすごくスキルフルで、映画を観てるようなスケールの大きなアルバムなのです! 今年52歳のエミネムは衰えるどころか、スキルの向上によって本場アメリカでも絶賛されています。また、しばらく封印していたスリムも戻ってきたことで、賛否を生みながらも盛り上がりを魅せています。