貸金庫から着服、計3件判明 金融庁集計、19年4月以降
金融機関で2019年4月から今年12月20日にかけ、職員が貸金庫から顧客の現金などを着服する事案が計3件起きていたことが28日、金融庁の集計で分かった。うち1件は三菱UFJ銀行の行員が十数億円相当を盗んでいた案件で、他にも2件発生していたことになる。金融業界は不祥事が相次いでおり、信頼がさらに揺らぎそうだ。 川内博史衆院議員(立憲民主党)が12月18日の衆院財務金融委員会で質問し、金融庁が各金融機関から報告を受けた件数を回答した。金融庁は2件の詳細を公表していない。2件のうちの1件とみられるのはハナ信用組合(東京)。男性職員が鍵を不正に複製して現金を窃取していたと今年2月に発表している。 関係者によると、2件は三菱UFJ銀の問題が発覚した今年10月31日以前に発生した。金融庁は2件の対応で、金融機関に個別に改善を求めただけで、全ての金融機関に管理体制の確認などは要請しなかった。 金融行政に詳しい東洋大の野崎浩成教授は「行政側も貸金庫の仕組みの不備は盲点だったのではないか」と語った。