市場規模は3年以内に350兆円超え!?…急成長の「プライベート・クレジット市場」で注目したい投資対象【アライアンス・バーンスタインの見解】
以前は明確なアセット・クラスとして認識されていなかったプライベート・クレジット。文字通りプライベート(未公開)な資産の1つとして、貸付や債権といった信用リスクをリターンの源泉とした投資対象のことを指します。今回は、米国の大手資産運用会社であるアライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が、そんな「プライベート・クレジット市場」の現状と注目の投資対象について解説します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
躍進する「プライベート・クレジット市場」
企業向けの債権やローンに限っても、2027年までに2兆米ドル超えの見通し プライベート・クレジット市場が持続的に拡大しています。市場規模は2023年までに約1兆6,000億米ドル(日本円で約248兆円※1米ドル155円換算)にのぼり、米国のハイイールド債券市場に匹敵します。 さらに一部では、2027年までには2兆3,000億米ドル(日本円で約356.5兆円※1ドル155円換算)に達するとの見通しもあります。しかも、ここでいうプライベート・クレジットは企業向けの債権やローン(ダイレクト・レンディング)に限ったもの。 広義でのプライベート・クレジットは幅が広く、商業用不動産やインフラストラクチャー向けの貸付や債権、それからスペシャリティ・ファイナンスと呼ばれる消費者・住宅・商業向けのローン(消費者・自動車・住宅・中小企業向けローンなど)などと多彩です。 投資機会が広がる一方、「投資対象」の厳選が課題に プライベート・クレジット市場の拡大は、投資家にとっては投資機会がいっそう広がることになりますが、一方で投資対象の厳選がより大切になるでしょう。 特に、高金利によって資本コストが「Higher for Longer(長期間にわたって高水準)」である状況が続くなか、高金利が重荷となる借り手も存在します。こうなると、貸し手にとってリスクが増大することになりかねないためです。 それでも、金利の先行きが明確になれば、プライベート市場全体の見通しや投資機会への視界も開けます。インフレ圧力による資産の再評価を踏まえ、中期的な金利や利回り水準のコンセンサスが形成されれば、プライベート市場全体での取引量は増えるでしょう。