市場規模は3年以内に350兆円超え!?…急成長の「プライベート・クレジット市場」で注目したい投資対象【アライアンス・バーンスタインの見解】
「プライベート・クレジット」が拡大した背景
そもそも、プライベート・クレジットが拡大してきた背景には、銀行に対する資本規制の強化があります。 加えて中小の銀行は、資金調達ニーズへの対応も同時に迫られているため、貸し手にとって好条件での投資機会が広がり、リターン創出の可能性が高まると考えているはずです。 リスク管理能力に長けた経験豊富な貸し手にとって、これは朗報です。市場のユニバースが広がり、リスク・リターンに応じた魅力的な機会が生まれる点は、「Higher for Longer」の金利環境でもプラス面となります。
不動産ローン、ダイレクト・レンディング…具体的な投資対象の「注目ポイント」は
ここからは、プライベート・クレジットの具体的な対象に応じて注目ポイントをお伝えします。 1.商業用不動産ローン まずは商業用不動産ローンです。コロナ禍以降のメディア報道や課題に直面する商業用不動産セクターが影響し、銀行は融資を減らしてきています。 そのため、プライベート市場では貸し手が優位な環境です。健全な貸し手に対しては優良担保付でも高いリターンが見込めるほか、ダウンサイドのリスクに対しても損失を吸収する資本上のバッファーを契約条件に含めるといった有利な交渉が可能です。 2024年は満期をむかえる既存ローンが増えることが想定され(図表1)、ローンの条件に関して貸し手に有利なものになると考えられます。 2.ダイレクト・レンディング 次にダイレクト・レンディングです。2023年は高金利を受けて取引活動は冷え込んだものの、それでも同年の平均利回りは12%を超えており、高いリターンを生み出しました。 ダイレクト・レンディングのベース金利は2024年末に4.5%前後になると予想していますが、これは世界金融危機後の数年間主流だった1%未満をはるかに上回る水準です。 高金利に苦しむ借り手もいるため、事前の精緻な分析などが必要とされ、安定的なポートフォリオを構築する運用マネージャーの能力が重視されるでしょう。 3.インフラ関連 インフラ関連では、クリーンエネルギーへの転換に最前線で資金供給する主体がプライベート市場の貸し手にあたります。太陽光発電や蓄電設備に対する融資は特に魅力的です。 ただし、もちろんエネルギー転換の道筋は紆余曲折があることから、案件を選別するアプローチが必要です。米国ではインフレ抑制法によって関連施設の建設を促進し、新たなプロジェクトが生まれています。ここでも銀行が資金供給から手を引きつつあり、投資機会は拡大しています。