『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』68pより引用（イラスト／ヤマサキミノリ）

　片づけを始めようと思ったとき、つい収納グッズや家具を買ってしまう。そんな経験はないだろうか？ 「これさえあれば片づけられる」と信じて購入した収納アイテムが、かえって部屋を散らかす原因になってしまうことも多い。実際に、片づけの現場で出会った依頼者さんの中には、片づけ前に買ったソファや大量の収納グッズに悩まされていた人もいるという。 なぜ片づける前に収納グッズを買うことが逆効果なのか？ それを避けるためには何が必要なのか？ 登録者数16万人の人気YouTube「イーブイ片付けチャンネル」の運営者であり、書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』の著者・二見文直氏に、片づけでやってはいけない「NG行為」と、片づけがスピードアップする効果的な方法を伺った。（構成/ダイヤモンド社・和田史子） 【この記事の画像を見る】 ●　「部屋を片づける前に、大きなソファを購入」の理由 　モノが多くて困っている人がやってしまいがちなのが、捨てる前に、収納グッズや家具を先に買ってしまうことです。モノが多いお宅に必ずあるのは、100円ショップで売られている小さなプラスチックの引き出しやケースといった収納グッズです。 　以前、部屋を片づける前に、大きなソファを購入された依頼者さんがいました。 　足の踏み場もない部屋にソファが届いてしまい、設置するどころか置き場もなく、玄関を入ってすぐのところに、梱包されたままのソファが放置されていました。 　収納や家具など、なぜ先にモノを買ってしまうのでしょうか。 　先ほどのソファを買った依頼者さんは、ずっと片づけようと思っていたそうです。「自分で家具（ソファ）を買ったら、それがキッカケで（片づけを）やるかなと思ったけど、結局はできなかった」とおっしゃていました。 　「なんとかせねば！」と行動を起こした依頼者さんの気持ち、みなさんもわかると思います。収納グッズや家具を先に買う方も同じ。みなさん、不安を解消するために買ってしまったのです。 　行動を起こすことそのものはすばらしいことですし、自分で自分に火をつけようとする気持ちもわかります。ですが、残念ながら順番が間違っていたのです。 　収納を買うより前に、まずは空間を作ること。そのためには、やはりモノを捨てるしかありません。 　「捨てる」という行為から目をそらしてはいけません。収納を買い続けてしまう限り、入れるモノも増えていきます。モノを入れる→もう入らない→収納を買う、これでは片づけは一生かけても終わりません。 ●　収納を捨てると片づけのスピードが上がる 　100円ショップで大量の収納グッズを買ってしまった別の依頼者さんは、「『捨てる』という行為を先送りしていた事実に気づいた」とおっしゃっていました。そして「ちゃんと向き合います、モノをしっかり減らします」と言い、最終的には収納グッズをすべて処分しました。 　不安や先送りといった感情も一緒に手放せるからなのでしょうか。収納グッズに限らず、空き箱や缶、バッグや紙袋など、「何かを入れるもの」を処分すると手放すスピードが一気に上がります。 　また、場所を空ける、空間を作るために捨てるということで言えば、最初に婚礼家具を捨てる方も増えています。 　「婚礼家具は大きいので置き場所も限られてしまうし、奥行きがあって使いにくい。思い切って捨てたら、部屋が一気に片づきました！」 　「大きな家具を捨てたら、中に入れていたモノの置き場に困るかと思ったら、どれも使っていなかった。見えないところに隠していただけだったので一気に処分、身も心もスッキリしました」 　収納を捨てると片づけのスピードが上がる。依頼者さんは口々におっしゃいます。 　片づける前に収納グッズや新しい家具を買おうと思ったら、この話を思い出していただけるとうれしいです。