新幹線改札内で寿司堪能 立ち食い店が好調 北九州JR小倉駅
JR小倉駅(北九州市)の新幹線改札内でのれんを出す「立喰寿し平四郎」は、3月の開店から半年がたち順調な客足が続いている。カウンターを挟んだ厨房(ちゅうぼう)と客席の敷地はわずか十数坪。職人が握る寿司を7人が立ち食いでき、その簡便さと利用しやすい価格帯のメニューで評判は上々の様子だ。
平四郎は、北九州市に本社を置き、回転寿司店を福岡県内に複数展開する。地元では人気の店とあって、JR西日本側からテナント出店への誘いを昨年春に受けた。新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したタイミングだった。平四郎の小林弘昌専務は「当社の店舗形態と異なるが、立ち食いスタイルには興味を持っていた」と心境を明かす。過去に、東京や大阪の立ち食い寿司店を食べ歩き、「いつか地元でもやってみたい」と思いを募らせていた。
3月オープンにこぎつけた「立喰寿し平四郎」。新大阪から博多をつなぐ山陽新幹線の駅改札内では、これまで立ち食い寿司の出店はなく、初めての挑戦にもなった。店の客層は、出張で新幹線を利用する会社員がほとんどを占める。インバウンドの利用もあるが、わずか1割程度。客単価は平均で1000円前後だ。それでも、開店当初に立てた1日70人以上の目標を大きく上回り、平均で200人が利用する。1人当たりの滞在時間は5~10分で回転率は高い。従業員は寿司を握る職人1~2人と補助作業1人の少人数体制で業務がこなせている。
客は、席にある注文票でオーダーすれば、カウンターテーブルにのせられたササの葉へ、握りたての寿司が出てくる。料金は、1カン税込み88円から。長崎・対馬産のマグロとアナゴ、玄界灘のサバ、若松(北九州市)のヒラメ、呼子(佐賀県唐津市)のイカがセットになった「玄海5貫盛り」(税込み1680円)などもある。小林専務が寿司の下積み時代に伝授したという、「厚焼玉子」もお薦めだ。
北九州を「すしの都」へ 市やJRなど連携
他方で、北九州市と地元寿司店、JR西日本らは、「すしの都 北九州協議会」をこのほど発足。首都圏や関西のメディア誘致や寿司業界人の研修、外国人向けに100ドルの定額メニュー設定などを計画し、観光消費額の拡大と地域経済への効果波及に取り組む。小林専務は「北九州から“すしの都”を発信していきたい」と述べ、「地元で水揚げされる、おいしい魚を寿司で握る風格も磨いていく」と目を輝かせる。