上野由岐子が13年耐え再び花咲かせたソフトボールは本当に五輪から消滅するのか…2028年米ロス五輪で復活の可能性あり
ソフトボールは、北京五輪以降、競技復帰のため同じく北京を最後に競技種目から外された野球とタッグを組み、世界野球ソフトボール連盟を設立してIOCに働きかけてきた。野球も初めて公開競技として五輪に採用されたのが、1984年のロス五輪で、ドジャースタジアムを埋めたファンの熱狂に感動した当時のIOCのサマランチ会長が正式種目としての採用に気持ちが傾いたとされる。 野球は、MLBがWBCを世界一決定戦と位置づけており、五輪にメジャーリーガーが参加できないことがネックとなるが、再びロスに五輪が帰ってくるとなると話は違ってくる。野球の五輪復帰の熱が高まることはソフトボールにとって追い風だ。 海外メディアもソフトボールの競技復帰の可能性があるという見立てで、今後の展望記事を出している。米シカゴ・トリビューン紙は「ソフトボールは五輪競技に戻るだろうか?『我々は世界に競争のある競技だと示してみせた』。今それはIOC次第となる」との見出しを取り、「ロス2028とブリスベン2032の組織委員会がソフトボールと野球を競技に復活させ、両スポーツが恒久的な五輪競技になるように議論する機会をもたらす可能性はある。もしそうでなければ、今後、五輪競技に復活する見通しは厳しくなる」と解説。 今大会で日本が金、米国が銀、豪州が銅を獲得したことについて、「3か国は、IOCに対して復活を懇願している姿を世界に見せたいという理由でメダルを獲得したのだ」と分析した。 米CBSスポーツも「ソフトボールはパリ五輪では戻ってこないが、ロサンゼルス2028大会に希望」との小見出しを取り、「ソフトボールは五輪の舞台で力強く成長してきたので、この競技が次のパリ五輪で開催されないのは残念なことだ。野球もソフトボールも五輪の常連競技ではないためファンたちは両方の競技が復帰するまで7年以上待たなければならない。だが、両方の競技が2028年のロス五輪で復帰することが期待されている。カウントダウンを始めよう」と競技復帰に期待を寄せた。 復帰の可能性を断言したのが英ガーディアン紙だ。 野球・ソフトボールが2012年のロンドン五輪から競技除外されたことや1936年のポロ競技以来の異例の事態だったことを伝えた上で、「主催国の人気もあって東京五輪で競技復帰したが、2024年のパリ大会では再び競技外となった。ただ疑いなく、ドジャースタジアムに魅惑的な雰囲気をもたらす2028年のロス大会で(野球・ソフトボールが)戻ってくる」と断言した。 記事は「2019年に米国と日本が冷淡なパリ市民が野球やソフトボールに熱狂できるよう説き伏せるための機会として2024年のホスト国チームの質を上げるミッションを考えた」と、フランスにコーチ陣を送る計画を発表していたことを紹介。 パリ五輪では、その願いは受け入れられずブレイクダンスなどが新種目に採用されることになったが、「7年後に会おう。年齢を重ねてしまうが、ファンたちは、上野の(2028年ロス)五輪でのパフォーマンスについて愛情をこめて語っているだろう」と、ロス五輪では、46歳となる上野に現役続行を願うメッセージを送った。 報道によると未明に公式優勝会見に臨んだ上野は、海外メディアから同じような質問を受け、「今の私にはまだそこまで考えられない。だが、決勝で投げていても投げることがすごく楽しかった。投げられるまで投げていきたいなという思いは強かった。もしかして(7年後まで)私が投げていたら、再度マウンドに立つことがあるかもしれません」と答えている。 上野が、東京五輪で伝えてくれた感動のまま、あきらめず7年後へ希望を持ち続けることが重要なのかもしれない。