【セルジオ越後】球際で敗れ、完全アウェーの雰囲気にのまれ...完敗の横浜は相手との実力差を認めるしかないね【ACL決勝】
10人になったけど、11人のままでも厳しかっただろう
横浜がACLの決勝・第2レグでUAEのアル・アインと敵地で対戦。1-5で敗れ、2戦合計では3-6となり、準優勝に終わった。 【動画】F・マリノスが1-5で完敗...ACL決勝・第2レグハイライト 横浜は完敗だったね。球際の勝負で勝てず、相手のスピードに翻弄された。“完全アウェー”とも言える会場の雰囲気に、のまれてしまったようにも見えた。 前半アディショナルタイムには、キーパーのポープが一発レッドで退場。10人での戦いを強いられたけど、たとえ11人のままでも厳しかっただろう。それくらい、明確な力の差があった。 アル・アインは良いチームだった。2得点とPK獲得など横浜の守備陣を圧倒したラヒミ、途中出場で2得点をマークしたラバの両フォワードの決定力は素晴らしかった。ミッドフィルダー、ディフェンダー、キーパーもハイレベルだった。 世界的に有名な選手はいないものの、クオリティが高かった。ビッグネームを数多く獲得したサウジアラビアのクラブを下して勝ち上がってきたのは、決してフロックではないだろう。 横浜はチーム力が劣っていたのを、認めるしかない。アル・アインと比べると、個人の質で差は明らかだった。相手はラヒミに加えてラバという点取り屋がいるのに対し、横浜にはロペスの代わりとなるストライカータイプがいないように、選手層でも差があった。 キューウェル監督の精神状態も気になった。後半アディショナルタイムにイエローカードを受けていたように、審判への抗議が目立った。メンタル的に追い込まれていたのかな。選手だけでなく、監督も含めたチーム全体での敗北と言わざるを得ないね。 また、今さら言っても仕方ないけど、ホームでの第1レグが痛かった。2-1で勝ったとはいえ、リードは1点のみ。内容的には3点目、4点目を取れるチャンスもあったので、悔いが残る。 相手にとっては8分の先制点で“同点”になった。もし横浜に2点や3点のリードがあったら、0-2で迎えた40分にヤン・マテウスが決めた得点は、もっと価値があるものになったし、相手は慌てていたかもしれない。 中国や韓国など東アジアの強豪との接戦を制して決勝に進出したのは、見事だった。ただ、中東勢とは、はっきりと実力差があった。資金面での差もあるし、ACLでは今後も厳しい戦いが続くだろう。横浜だけでなく、Jリーグ全体に課せられた課題だ。 【著者プロフィール】 セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。
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