セレッソ大阪が起こしている異変のなぜ?
全日程の約5分の1となる7試合を終えた今シーズンのJ1で、ちょっとした「異変」が起こっている。昨シーズンのJ1昇格プレーオフを勝ち抜き、3年ぶりにJ1の舞台へ戻ってきたセレッソ大阪が、首位の浦和レッズに勝ち点4差の7位につけている点だ。 なぜ「異変」なのかと言えば、2012シーズンからスタートしたJ1昇格プレーオフを勝ち抜いたチームは例外なく、翌年のJ1で開幕直後から下位に低迷。最終的にはすべて最下位でJ2へUターンしてきたからだ。2013シーズン以降の第7節終了時における、プレーオフ勝者の成績を振り返ってみる。 ・2013シーズン 大分トリニータ 17位 勝ち点2 得失点差-6 ・2014シーズン 徳島ヴォルティス 18位 勝ち点0 得失点差-21 ・2015シーズン モンテディオ山形 17位 勝ち点4 得失点差-5 ・2016シーズン アビスパ福岡 17位 勝ち点3 得失点差-4 J1昇格プレーオフは、J2で3位から6位までに入った4チームが出場する。トーナメント形式の一発勝負ゆえに下克上が多く、3位のチームが勝ち上がったのは2015シーズンのアビスパだけだった。これまでにも幾度となく、従来通り上位3チームを自動昇格させるべきだ、という廃止論も沸きあがっている。 それだけに3勝3分け1敗で、ガンバ大阪、川崎フロンターレと並ぶ勝ち点12をマーク。8得点に対して6失点と、得失点差でもプラスに転じさせているセレッソの健闘ぶりが目立つ。 もっとも開幕前の段階で、セレッソの玉田稔代表取締役社長は目標とする順位を「とにかく半分以上に入りたい」と9位より上に設定していた。 「もっと本音を言えば、何としてでもJ1に残留しないといけない、というところですね。優勝を狙った昨シーズンのJ2で勝ち切れず、しょせんは4位で上がったので、タイトルを狙うなんておこがましい。まだまだそこまでの力はないと思っていますので」 潜在能力は高い、と常に評価されてきたチームでもあった。MF山口蛍はドイツから復帰した昨夏以降も日本代表に継続して招集されている。187センチ、79キロのFW杉本健勇は、以前から日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が注目していた。 昨シーズンから引き続きキャプテンを担うのは、元日本代表のFW柿谷曜一朗だ。そこへシーズンの開幕直前になって、スペイン1部のセビージャで出場機会を失っていた日本代表FW清武弘嗣も復帰した。 2010シーズンに3位、2013シーズンには4位とJ1の上位につける一方で、2014シーズンには17位でJ2へ降格した。不安定な戦いの軌跡は、継続性が見られなかったチームの強化方針に起因する。