50代から知っておきたい! 「認知症とフレイルの関係」を作業療法士が解説
多くの人は認知症になりたくないと思うでしょう。人の脳には「認知予備能」があり、その機能を中高年の時期から強化しておくことで、認知症の予防につながる可能性があるようです。さらに「認知機能は身体の老化とも関係する」と専門家は言います。心身の虚弱状態である「フレイル」と、どのような関係があるのでしょうか、予防の方法も含めて鹿児島大学特任研究員で作業療法士の赤井田将真さんに解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
認知症とフレイルの関係について知る
編集部: 認知症と身体的フレイルの関係について教えてください。 赤井田さん: 認知症と身体的フレイルは双方向の関連性があるといわれています。例えば、身体的フレイルを有することで、活動性の低下を招くリスクがあります。活動性の低下が生じることで脳の働きが鈍くなり、認知機能の低下を引き起こすことが考えられます。一方、認知機能の低下が起こることで、外出が億劫になることや、外界からの刺激が少ない環境を好むようになるといわれています。このような状況が継続することで身体的フレイルの発生リスクが高くなることが考えられます。 編集部: 認知機能低下は身体的フレイルの発症リスクにどのような影響を及ぼすのですか? 赤井田さん: 認知機能の低下は日常生活における活動性に影響を与えるとされています。例えば、認知機能が低下している人は低下していない人に比べて、1日当たりの歩数が少ないことが報告されています。1日当たりの歩数が多いということは、日常的な活動性を維持することができており、身体的フレイルの発症リスクが低いことが考えられます。また、認知機能が低下することで、人とのコミュニケーションや新しい体験の機会への参加が億劫になるといわれています。このような状態が続くと身体的にも活動性が低くなり身体的フレイルの発症リスクが高くなると考えられます。 編集部: 認知症を予防することでフレイル予防にはどのような効果がありますか? 赤井田さん: 認知症とフレイルの発症要因には重なるところが多いため、認知症を予防することは、フレイル予防にも効果的であると考えられます。例えば、フレイルと認知症の発症要因として、ホルモンの調節異常や栄養状態悪化、持続的な炎症、血管の硬さ、抑うつなどが共通した要因として挙げられています。つまり、認知症およびフレイルに共通する発症要因への対策をおこなうことで、認知症予防、フレイル予防に対して効果が期待できます。