50代から知っておきたい! 「認知症とフレイルの関係」を作業療法士が解説
認知症予防の方法を学ぶ
編集部: 運動は認知症予防にどのような効果がありますか? 赤井田さん: 運動が認知症予防に効果を及ぼす仕組みとして、身体の内部や行動、心の状態がお互いに影響し合っているものと考えられます。とりわけ、運動が脳機能に影響を及ぼすメカニズムとして、運動することで脳の機能を高めるタンパク質が脳内で活性化するといわれています。このタンパク質が活性化することで、脳の記憶をつかさどる部分の容量が増えることが期待されています。さらに、脳の血流の増加や脳の炎症の軽減など、認知機能に保護的に働く効果が期待できます。 編集部: 知的活動は認知症予防にどのような効果がありますか? 赤井田さん: 知的活動は脳の機能を活性化させることが出来るため、認知症予防に効果があると考えられます。例えば、高齢者にとって身近な知的活動のひとつとして「新聞を読むこと」があります。認知症ではない高齢者を5年間追跡した研究によると、「新聞を読んでいない人」は「新聞を読んでいる人」に比べ、約1.5倍認知症になりやすいことが報告されています。また、食事の用意や行政の書類の作成など、日常的な知的活動は認知症の発生に保護的に働く可能性が報告されています。ひとつの知的活動を続けるより、多様な活動を日常的に自身でおこなっていくことが認知症予防として期待される活動になります。 編集部: コミュニケーションは認知症予防にどのような効果がありますか? 赤井田さん: コミュニケーションは、心の健康や脳の活性化に繋がり認知症予防に効果的であると考えられます。コミュニケーションは、複数の脳の機能を使います。例えば、「日付を約束して準備をする」、「コミュニケーションの中で雰囲気を読み適切な会話をする」など、ひとえにコミュニケーションといっても様々な要素が加わる活動となります。このようにコミュニケーションを日々の生活の中で積極的に取ることは脳の機能が活性化され認知症予防に効果が期待できます。