50代から知っておきたい! 「認知症とフレイルの関係」を作業療法士が解説
50代からの認知症予防
編集部: なぜ50代からの認知症予防が重要なのでしょうか? 赤井田さん: 人の脳には「認知予備能」といわれる機能が備わっています。認知予備能とは、認知機能の低下に対して、どれだけ脳の耐性があるかを示す概念です。認知予備能が強化されることで、脳の病的変化や損傷に対して保護的に働くことが報告されています。複雑な技能が必要とされる仕事への従事や手芸など、日常的に認知的な活動が多い環境にある人は認知予備能が強化されているといわれます。さらに、普段から知的活動(新聞を読む、計算をするなど)に積極的に取り組むことで、認知予備能は強化されると考えられています。つまり、認知機能の低下のリスクが高まる60代以前から認知予備能を強化することは、認知症予防に効果的であると考えられます。 編集部: 認知機能が低下するリスクとしてどのようなものがありますか? 赤井田さん: 認知機能の低下は様々な要因がリスクとなります。具体的には、喫煙や過度なアルコール摂取、肥満、運動不足などが主なリスク要因として挙げられます。心当たりがひとつでもある方は認知機能が低下するリスクが高いといわれています。さらに外出する機会が週に1回未満であることや、何をするにしても億劫であるなど、心の健康も認知機能低下と関連することが明らかになっています。生活習慣の見直しと、好きなことをして過ごすなど、自身の心のケアもおこなうことで認知機能の低下するリスクを軽減することが期待されます。 編集部: 認知症を予防する方法にはどのようなものがありますか? 赤井田さん: 認知症の予防には様々な方法が提唱されていますが、中核を担う取り組みとしては継続した適度な運動を生活の中に取り入れること、食事の管理が重要だといわれています。例えば、息がはずむ程度の早歩きでのウォーキングを1日20分程度で継続しておこなうことが重要です。さらに、青魚(サバ、イワシなど)を積極的に食べることで、認知機能に保護的に働く栄養素を摂取することが出来るといわれており、認知症の予防方法として推奨されています。