平金桐、現役引退を1年延期して直面した苦労…信念を貫きたどり着いた“最初で最後の”全日本選手権の舞台で初めて舞う
旧友・島田麻央と同じ舞台に立つ
その夜、嬉しい再会をしたという。 「会おう!」と連絡を取り合ったのは島田麻央だ。ジュニアで2年半全戦全勝の16歳は、東京・東大和で共にスケートを学んだ仲間。 2人が出会ったのは島田が小学校1年生のとき。島田との再会を平金は笑顔を見せながら振り返る。 「上手になって有名になっているけど、今も本当にそのままだなって。シャイで、かわいいものが好きで、芯が強くて、でもホワンとしてるっていうか。一緒に楽しんでスケートをしていました。すごく脚が強くて、7歳上の私をおんぶしてくれていました」 島田も、平金のことを聞くと表情が一気にほころんだ。 「スケーティング、ステップ、ジャンプを教えてもらって、ずっと遊んでもらって。その桐ちゃんが全日本に出て、そして私も全日本に出ることができて。まさかその時は同じ大会に出ると思っていないですし、その大会が最高峰の全日本ということも思っていなかったので、私も桐ちゃんも“全日本に行ける”って決まった時は本当に心から嬉しかったです」
全日本でも「自分を見失わず」
全日本に出場する女子シングルのスケーターには、ジュニア世界一の16歳も、初出場の23歳も、等しくショートプログラム2分40秒の演技時間が与えられる。 リンク上はたった一人。そして、自分だけに用意された時間だ。 そして島田は、ルール上、全日本選手権でしか挑めないトリプルアクセルに意欲をみせる。 平金桐は、全日本の場でも自分を見失わずに夢舞台に挑みたいと語る。 「どんなにジャンプが大事でもどんなに点数をとりたくても、踊るということを意識しないと作れない演技。そこだけは見失いたくないと思っています」 どちらも、とても楽しみだ。
フィギュアスケート取材班