「阿修羅のごとく」プロデューサーが語る、日本のドラマに多様性がなくなっている根本的な理由
名作を後世に継承していきたい
――先にキャストをおさえた上で放送する場所を検討するのは「阿修羅のごとく」と同じ手法ですね。結果、原作もドラマ人気で重版されていますし、win-winですよね。 八木P:「阿修羅のごとく」もそうだけど、僕の場合、ドラマ作りの根本にはホームドラマがもっと増えてほしいという思いがあるんです。 ――今後、手掛けてみたい企画はすでにあるのですか。 八木P:ネットに「団地のふたり」の続編をという要望はありますが、皆さんお忙しい方ばかりなので、どうなるか……。「団地のふたり」や「阿修羅のごとく」をきっかけにホームドラマが盛り上がってほしいと思っています。 例えば、山田太一さんの「岸辺のアルバム」(1977年、TBS系)は皆さんよくご存じですが、その前に「それぞれの秋」(1973年、TBS系)というホームドラマの名作があるんですよ。これは現代でもリメイクできるんじゃないかと思っています。 今の若い視聴者にもクリエイターにも、かつてこういう素晴らしいドラマがあったんだと伝えることも、この世界で長年やってきた自分の役割だと思うんです。こういう素晴らしいドラマがあったことを誰も知らずに埋もれていってしまう。それはすごくもったいないし、残念だなと思うので、向田作品に限らず、機会があれば往年の名作ドラマをリメイクしていきたいなと思っています。 Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」は1月9日独占配信
田幸 和歌子(フリーランスライター)