国立小教員が激白「親との歪な関係」で増える業務 他校の再現性ない運営で教育実習生の夢も壊す
国立校が「地域における指導的・モデル」であるために
実は遠藤さんは、公立小での勤務時に職場の働き方改革を進めていた。休憩時間の確保と残業の削減を行い、自身も定時帰宅を実現している。 「私も新卒2年目までは、積極的に残業を行い、休日も勉強会に通って教材研究や授業準備をしていました。でも、私1人が熱心に取り組んでも教育全体を良くすることはできません。だからと言って、ほかの先生にも重い負担を求めるのは違いますから、勤務時間でできる再現性の高い取り組みをしたいと思い、学校単位で調節可能な時程の変更を皮切りに、少しずつ改革を進めていました」 国立小に求められる役割は、こうした働きやすい環境を整えて全国の学校のお手本になると同時に、学生に教員の魅力を感じてもらうことではないかと遠藤さんは提言する。 「私は、国立小での働き方に賛成できませんでした。現在の働き方が残っているのは、今までの先生方が従い続けてきたからです。このまま働き続けることは、今の職場を実質認めることになると思いました。これから日本全体が協力し合って教育に取り組めば、より良い社会にできると思います。実際、私はそれがしたくて教員になりました。働き方も授業内容も、まだ良くなる可能性はあると思うので、ぜひ管理職の方々とともに取り組んで、教員を目指す人を増やしたいです」 文部科学省の有識者会議で示された「国立の附属学校の概要」によれば、国立学校の使命・役割の1つに「地域における指導的・モデル的な学校としての取組」とある。もしこれが、個々の教員の先進的な授業のみを指すと考えるならば、それは想像力に乏しいと言わざるをえない。まずは遠藤さんの言うように、教員自身が生き生きと働く姿を見せることが重要なのではないだろうか。 (文:高橋秀和、注記のない写真:buritora / PIXTA) 本連載「教員のリアル」では、学校現場の経験を語っていただける方を募集しております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームからご記入ください。
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