【ランキング】日大の志願者数は2万人以上減少 最も増えた私立大学は? 24年度大学入試
入学検定料の割引制度を拡充した大学も
上位10位に入った中堅私立大学には、「高得点の科目を重視する入試方式など、受験生が受けやすい入試方式を増やしたり、入学検定料が安くなる割引制度を導入したりという取り組みを実施した大学が多くみられる」と井沢部長は言います。3位の中部大学、5位の大東文化大学、6位の大阪産業大学、8位の広島修道大学などです。高得点科目重視方式とは、3科目で受験した中で、高得点が取れた2科目だけで判定する制度で、大阪産業大学や広島修道大学で取り入れられています。 「中部大学と大東文化大学は、入学検定料の割引制度を拡充し、受験生の経済的負担を減らしたことが、志願者数の大幅増につながった要因と考えられます」 続いて、11位から20位を見てみましょう。12位には法政大学が入り、志願者数は10万人を超えています。 「法政大学では14学部が同じ日に試験を行う『T日程入試(統一日程)』があります。これは2科目で受けることができるので、受験生の負担が少ない。MARCHクラス以上で2科目型の入試を実施しているのは、法政大学だけでしょう。この影響が志願者増につながっていると思います」 14位の上智大学は、23年度入試から共通テスト利用方式にそれまでの4教科型に3教科型を追加したことが大きいと見られています。 「ただし、入学検定料の割引制度を設けたり、入試方式を新しくしたりしても志願者が増えない大学も実は多い。志願者が増えている大学や、安定して志願者が集まる大学は、教育内容やキャンパスなど、ほかにも受験生が魅力を感じる要素があるのだと思います」
志願者数を減らした早稲田大学の見解
一方、早稲田大学の24年度の志願者数は8万9420人で、9万人の大台を割りました。同大学では、看板学部である政治経済学部が21年度から一般選抜に大学入学共通テストの「数学Ⅰ・数学A」を必須とし、英語と日本語による長文の独自問題を課しました。この影響から、同学部の一般選抜の志願者数は、20年度の7881人から21年度は5669人と前年比72%に激減し、22年度は4872人まで減少しました。23年度に5209人に増えたものの、24年度は5042人と再び減少しています。 「早稲田大学は以前の入試方式に戻せば、志願者は確実に戻るでしょう。しかし、そうはしないはずです。政経学部が数学を入試に取り入れたのは、入学後の勉強に必要だからで、実際、入試方式を変えたことで期待していた学生が多く入ってきており、志願者数にはこだわっていないと考えられます」 井沢部長は「受験校を選ぶときには、科目数の少ない入試方式や、倍率の低い大学・学部に目が行ってしまうかもしれませんが、最優先にすべきは、学びたい学部や大学です」と話します。 「少子化の影響で大学は入りやすくなっています。過去のデータをさかのぼるとわかりますが、志願者数が多いといっても、一昔前と比べれば随分少ないです」 志願者数は受験者や保護者の関心を表しているともいえますが、その増減にとらわれすぎず、自分が何を学びたいのかを重視することが大切です。
朝日新聞Thinkキャンパス