【今日からできる健康法】認知症の予防にも!「後ろ歩き」のメリットと注意すべきこと
後ろ歩きの2つの欠点と実際の効果
「後ろ歩きはスキルですから、慣れるのに時間がかかります。とくに、今までやったことがない人にとってはなおさらです」とバー氏。 考慮しておきたい2つの欠点は以下のとおり。 1. 怪我のリスクが上がる 「後ろ歩きは、つまずいたり転んだり、障害物や他の人と衝突したりするリスクが高いので、とても難しく感じることがあります」とバー氏。 2. 首と背中に負担がかかる 「後ろを振り向くたびに首を回す必要があるため、後ろ歩きによって首と背中が疲れやすくなるでしょう。ウォーミングアップでは、首と背中のストレッチを忘れずに行うことが重要です」
後ろ向きウォーキングは、年を重ねるほど推奨される
「後ろ向きに歩くことは、バランスや調整力、筋力の向上に役立ち、転倒のリスクを軽減できるので、高齢者の方には特に有益です」とマクナマラ博士。 2018年にマーサー大学医学部が行った研究によると、毎年約250万人の高齢者が転倒により救急外来で治療を受けており、この年齢層の骨折は転倒によるものが全体の87%を占めていることが明らかになった。 2019年に実施されたある研究では、後ろ向きに歩くことで体力と可動性を高められ、高齢者の筋肉や関節、特に足底筋膜(足の指先のつけ根からかかとにかけてアーチのように位置している繊維状の組織)の痛みの治療に役立つ可能性が示された。 足底筋膜の痛みはランナーに起きやすく、組織の使い過ぎとそれによる炎症が原因で引き起こる。でも、足底筋膜が痛むのは熱心にスポーツをする人だけじゃない。イギリスの国民保健サービスによると、40~60代の人や肥満の人、あるいは運動中に足の裏を過度に伸ばし過ぎた場合にも、足の土踏まずの周辺に痛みが起こりやすくなる。 でも、マクナマラ博士によれば心配は無用。後ろ向きに歩きながら傾斜や速度に変化をつけると「関節や筋肉の可動範囲を変える」ことができ、傾斜角度で足底筋膜を治療的に伸ばし、強度を高めることで痛みを軽減できるそう。 また、平均年齢55歳の被験者68人を対象に行われた研究では、6週間の後ろ向きウォーキングによりヒザの痛みが大幅に軽減し、変形性膝関節症患者の大腿四頭筋の筋力に改善が見られている。