ズボラな人ほど株式投資はうまくいく…投資の神様・バフェットが守り続ける"大暴落した時の絶対ルール"
■金融危機時に証券口座を見てはいけない 行動ファイナンスの分野でもう一人の傑出した研究者は、ダン・アリエリーだ。デューク大学の心理学および行動経済学教授で、デューク大学先進後知恵研究センター(the Center for Advanced Hindsight)の創設者でもある。彼のウェブサイトのタイトルも勤め先と同じくらい個性的だ「私の不合理な生活」である。 アリエリーの研究は、人々の実際にどのような投資判断を下すかと、完全に合理的に行動した場合とを比較する。彼の著書には『予想どおりに不合理』や『不合理だからすべてがうまくいく』などがある。 セイラーと同様、アリエリーは投資家に対し、市場変動によって不安になったり、その結果として(金融の専門家でさえ)誤った判断をしたりする可能性が高いので、自分のポートフォリオの価値を定期的にチェックしないよう助言する。 2007年から2009年の世界金融危機の際の一時期、彼は意図的に自分の口座を一切見ないようにしていた。「相場の上げ下げを見ようとすると、よけいにみじめになるだけなんですよ。そして気持ちだけではなくて、行動も影響を受けてしまうんです」とCNBCに語っている。 ■危機に対するバフェットの助言は「何もするな」 新型コロナウイルスのパンデミック 金融市場に影響を及ぼした、最近の世界的な危機といえば新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、アメリカ合衆国は2020年初頭にこれに襲われた。ウイルスの拡散を抑えようとビジネスをシャットダウンした結果、アメリカの株式市場は2020年2月中旬の高値から3月23日の底値まで34%急落し、史上最速の下落を記録した。これは、1930年代の大恐慌以来で最悪の経済危機を引き起こした。 実際、景気後退自体は2カ月しか続かず、エコノミストたちによると同年4月には終わっていた。だが、突然職を失ったり労働時間が減らされたりした多くの人々はそのように感じなかった。 いつも通り、危機が起きるとメディアはバフェットに金融に関する助言を求めた。では彼の助言は何だったのか?「じっと座って大きな変更を一切しないように」だった。要するに、「何もするな」と言ったのである。 実際、経済状況は、一部アメリカの支援も受けて自律回復した。連邦準備制度理事会(FRB)はさまざまな種類の債券を購入して市場に流動性をつぎ込み始めた。8週間以内に、FRBは2007~2009年の大不況時代に行った以上の流動性を金融システムに注入した。その結果、資産価格は押し上げられて景気は回復した。バフェットは正しかった。最も賢明な行動はアメリカ経済を信じてパニックに陥らないことだった。 大不況(2007~2009年) 当時、不動産市場は過熱しており、金融機関の無節操で投機的な貸付に支えられて一段と上昇したが、これが崩壊すると、ダウ平均は2007年8月にピークを付け、その後50%以上下落した。多くの投資家が売りに殺到した。しかし、市場は2009年3月に回復し始め、4年後の2013年3月にはダウ平均は2007年の高値を抜いた。もう一度繰り返すと、危機を静観することが最善の行動だった。これは、バフェットと行動ファイナンスの学者たちがともに推奨した方法である。