電通過労自殺9年 高橋まつりさんの母「国は対策見直しを」「娘と共に力尽くす」手記全文
電通が働く全ての人の人権を尊重した経営を行い、全ての社員が生き生きと誇りを持って働ける会社であることを願って、これからも見守っていきたいと思います。
そして今年は過労死防止法が施行されて10年になりました。娘が亡くなる前年の2014年11月1日、大切な家族を過労で失くした遺族の方々のたゆまぬ努力によって過労死防止法が施行されました。その後、働き方改革が叫ばれる中、残業時間の上限が定められ、労働環境の改善が進んだかのように言われますが、今でも仕事が原因で病気になる人や、過労死する人がいます。特に精神疾患の労災請求は毎年増えて、娘が亡くなった年の2倍以上になっています。
国は過労死対策に何がたりないのか。どうしたら過労死がなくせるのか。私たち遺族の意見を本気で聞いて、対策を見直してほしいです。
経済成長のため、企業の利益のために人の命が犠牲になることがないように、働く人の健康を第一に考えた企業経営、国の政策を実行して欲しいと思います。
先月の11月28日はまつりの誕生日でした。
生きていたら「33歳」。どんな人生があったでしょう。「死んだ子の年を数える」といいますが、どんなに悔やんでも、どうすることもできないと頭ではわかっているのに、「あの時ああすればよかった。こうすればよかった」と、まつりのことばかり考えてしまいます。
自分のいのちより大切な娘でした。私の願いは「まつりの幸せな人生」でした。まつりがこの世に生を受け、共に生きた24年の愛しい時間を絶対に忘れない。
まつりと同じように苦しんで亡くなる若者がいなくなるように。働く人のいのち。若者のいのち。未来の子どもたちを守りたい。それが今の私の願いです。
まつりのいない9年もまつりと共に歩んだ9年でした。誰もが安心して働き、誰もが希望を持って人生をおくれる国になるように願い、まつりと共に力を尽くして参りたいと思います。(原文まま)