リバースモーゲージに積極的・消極的な銀行はどこ? 東京の地方銀行が力を入れている理由とは
リバースモーゲージは高齢者が自宅を担保にお金を借りることができるローンの総称です。このリバースモーゲージは、私が勤務する銀行では、消極姿勢から積極的に推進していくよう方針が変わりましたが、一歩引いた消極的な銀行もあります。なぜ、金融機関で姿勢が異なるのでしょうか? 銀行員がわかりやすく解説します。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 住宅ローンの金利差0.1%で返済額はこんなに変わる!
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、高齢者が自宅を担保にして老後資金を借りることができる融資のことです。 住宅ローンなどの一般的な「ローン」は、毎月返済で残高が減っていきますが、リバースモーゲージは借り入れをするたびに残高が増えていく性質があることから、リバース(Reverse:逆)モーゲージ(Mortgage:担保)と呼ばれます。 主な融資対象は60歳以上の高齢者です。20歳から50歳代のいわゆる「現役世代」は利用できません(現役世代向けには、不動産を担保にした「不動産担保ローン」などがあります)。 まず、リバースモーゲージについて簡単にまとめました。本題でも触れることがあるので、知識のブラッシュアップとしてください。 借入形態 借入形態はカードローンと同じ「当座貸越」です(ローンと同じ証書貸付形式もありますが少数派)。融資枠の範囲内で借入と返済が自由で、「利息だけで元金返済不要」というパターンが主流です。 利息返済も「毎回利息のみ支払う」方法(カードローンなどと同じ)以外に、「利息を元金に組み込む」方法もあります。こちらはお金を借りた利息が融資枠の中で融資元金(残金)に組み込まれ、枠の範囲内なら利息支払いが不要というものです。 担保 担保が必要(有担保ローン)であり、融資枠は最大でも担保評価までです。担保評価は相場の5割程度といわれています。例えば、相場1億円の不動産は担保評価が5000万円であり、融資枠も最大5000万円までです。 返済期限 「返済期限は借りた人が死亡するまで」というのが主流です。住宅ローンなどと違い、リバースモーゲージは明確な返済期間がないため、自己資金で完済しない限り、お金を借りた人が死亡するまで融資が残ることになります。 なお「団体信用生命保険」(住宅ローンなどで、利用者が死亡すると融資残金を返済できる保険)が付随したリバースモーゲージは、筆者の知る限りでは存在しません。 ローンの種類 住宅金融支援機構と提携した公的な「リ・バース60」と、銀行オリジナルのリバースモーゲージがあります。銀行によって「リ・バース60」しか取り扱いがないところ、オリジナルローンだけを扱うところ、あるいは両方そろえているところなど、方針に違いがあります。 利用者が死亡した場合の手続き 利用者が死亡した場合の手続きは、以下の3つがあります。 (1)競売または任意売却で担保不動産を売却して返済する(競売が主流) 競売は、金融機関が裁判所経由で担保不動産を売却し、融資金を回収します。任意売却は、担保不動産を相続した人が任意売却して融資を返済します。 (2)誰かが一括返済する 相続人が、相続した預金や自分のお金などで一括返済します(担保は売却する必要がなくなる)。 (3)誰かが債務を引き継ぐ 配偶者や相続人が借り入れを引き継ぎ返済していきます。ただし審査があり、また追加借り入れは不可で、返済をしていくだけとなります。