なぜ警察の「不祥事ラッシュ」は止まらないのか? 現地取材で見えた鹿児島県警"わいせつ事件"の隠蔽工作
■不祥事対応の部署、そのトップの醜態 「不祥事や警察内部の不正隠蔽の話題に事欠かないのは北海道警も同じです」 そう嘆息するのは札幌市在住のフリージャーナリスト、小笠原淳氏だ。 「今年4月、旭川市内の石狩川に架かるつり橋から女子高校生が落とされ死亡する殺人事件が発生し、無職の20代女性と知人の19歳女性が逮捕されましたが、実はこの事件を捜査していた旭川中央署の刑事と、容疑者の20代女性が不倫関係にあった疑惑が週刊誌で報道されました。 今年1月にスナックで開かれた旭川中央署の新年会にも同容疑者は参加していたことも明らかになっています」 また、小笠原氏によると、21年6月頃、道警本部所属の20代の巡査長が、同居する小学1年の女児(養女)に陰茎を舐めさせるなどのわいせつ行為を強要していた事案について、こちらも当初は公表されなかった。 さらには、道警がこの巡査長の処分を「停職6ヵ月」で済ませていた事実も未発表となっていた。その後、地元紙が報じたことで同事件は明らかとなり、昨年12月にようやく起訴されることになったが、「地元紙の報道がなければ、"なかったこと"にされていた可能性が高い」と小笠原氏は眉をひそめる。 大阪では今年2月、大阪府警の20代の男性巡査が女性向けのデリバリーヘルス店で副業として働き、8ヵ月間で約240万円の報酬を得ていたという事件もあった。 こうしてみると、全国各地の警察署で不祥事が起きているように感じる。 「警察の不祥事は未発表事案も含めて増加傾向にあるのは確かです。その理由について、明確な回答を持ち合わせているわけではありません。 今年4月中旬には、道警の警視がこんな失態をさらしました。その夜、泥酔し酩酊状態にあった警視は、閉館間際の市民温水プールの裏口をガンガンと叩きながら『扉を開けろ! プールに入れろ!』と大声を張り上げたそうです。 その男がズボンをはいてなかったことを不審に思った施設職員が周辺の道路を見回ると、靴、ネクタイ、ズボンが道端に脱ぎ捨ててあった。 この泥酔警視は、道警・北見方面本部の監察官室長でした。監察官室といえば職員の不祥事に対応する部署で、そのトップがこの失態ですから、現場署員の気が緩むのも当然なのかもしれません」(小笠原氏) 市民を見張る警察を、誰が見張るのだろうか? 取材・文・撮影/興山英雄