なぜ警察の「不祥事ラッシュ」は止まらないのか? 現地取材で見えた鹿児島県警"わいせつ事件"の隠蔽工作
「警部補は、署内でも捜査上の強い権限がある。その父親が、事件の初動にブレーキをかけ、息子のために事件の隠蔽を図った可能性があります」 ■ふたつのストーカー事件 続いて向かったのは、鹿児島市から程近い霧島市。この街ではストーカー容疑のかかる2件の事案が発生した。そのひとつが、霧島神宮の参道脇にある駐在所の30代署員(巡査長)が近隣に暮らす20代女性に対し、駐在所備えつけの巡回連絡簿を悪用する形で携帯番号を入手し、メールやLINEで執拗にメッセージを送信していた案件だ。 その動機について、この署員は「好みのタイプだったので、親しくなるうちに男女の関係に発展すればいいなという思いがあった」と取り調べで述べている。彼は妻子と駐在所に暮らす身であった。 会食に誘う程度だった被害女性に対するメッセージは次第に卑猥な内容へとエスカレート。ラブホテルや混浴温泉に誘ったりと、「抱いていい?」とダイレクトに性的要求をしたりするようになった。耐え切れなくなった女性は交際相手の男性に相談、この男性が警察に申し出たことで事件は発覚した。 だが、霧島署の担当課署員との話し合いの結果、被害女性は訴えを取り下げた。 「巡回連絡簿を使った極めて悪質なつきまとい行為ですが、おそらく、(前出の)鹿児島中央署のケースと同じく訴えを受理してもらえず、その女性は泣き寝入りせざるをえなかった、ということだと思います」(鹿児島県議会議員) 真意を聞こうと記者は被害者宅を訪れたが、ポストには郵便物があふれ、そこに暮らしている気配はなかった。 霧島署員によるもう一件のストーカー事案は同市内のクリーニング店で起きている。 「23年2月中旬の夜、同店に勤める20代女性店員は仕事を終え、店脇の駐車場に止めていた車に乗ると、後方から接近する不審な車両に気がつき、その車内から嫌な視線を感じたそうです。恐怖を感じた彼女は、その日は自宅には戻らず、遠方の実家に避難しました」(地元紙記者) 翌日、彼女が店に出勤すると、見知らぬ中年の男性が現れ、汚れた衣類を出すわけでもなく、「霧島警察署 巡査部長」と印字され、その裏に携帯電話番号が手書きされた名刺を差し出してきたという。 「その際、この巡査部長は『どこの出身?』『休日は何してるの?』『彼氏はいるの?』と女性店員にしつこく絡んだ挙句、『これを受け取るまで帰らない』と名刺を押しつけてきたそうです。女性はしぶしぶ受け取らざるをえませんでした」