タワマンで「コンシェルジュ」や「ラウンジ」はホントに必要?…資産価値から考える「絶対的な結論」と高額維持費のヤバすぎる「罠」【マンション管理クライシス】
住まいを語る上で良くも悪くも、取り上げられることが多い「タワマン」。住んでいなくても、高層階の眺望の良さに加えて、多彩な共用サービスには魅力を感じる人は多いだろう。ただ、この共用サービスの必要性については意見が分かれる──。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて情報を参考にしてください) 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!タワマンの低層階住人の「残酷な現実」
共用サービスは無駄なのか
関東某県、築20年のタワマン高層階に暮らすA子さんは言う。 「私はセキュリティと眺望の良さに惹かれて5年前に中古で購入しましたが、ラウンジは友人を案内したりで、これまでに数回使ったくらいです。眺望は自分の居室のほうがいいし、ラウンジの室内は意外と高級感はなくて、ソファーセットがあるだけで、どこか陳腐な印象です。コンシェルジュにも何か頼んだり、利用したことはないですね。他の共用サービスも全く使っていません」 なんとも煌びやかなタワマンの幻想を打ち砕くような辛辣さだが、本当に共用サービスは無駄なのか。 タワマンの共用サービスにはラウンジやコンシェルジュの他、ゲストハウスやジム、キッズルーム、シアタールーム、最近ではワーキングスペースなど、あげればキリがないが、「本当に利用するのか」と思うサービスは多い。それだけに、「ほとんど使わないのに、維持費がかかるだけで無駄」と批判の対象になることもしばしばだ。
活用されない「スケールメリット」
しかし、資産性という観点ではどうか。住宅ジャーナリストが言う。 「適正なコスト管理がされていれば、資産性の面では共用サービスはあった方がいいのは間違いありません。タワマンなど、大規模マンションであればあるほど、スケールメリットが効くので戸当たりのランニングコストは少なくて済み、賃貸に出したときや、リセール時には競争力を持つからです」 不動産関係者も言う。 「タワマンを買ったり借りたりする層は少なからず、タワマンらしさ自体に憧れを持つ人が少なくありません。お客さんが複数の物件に内見に行くと、コンシェルジュやラウンジの有無でテンションが変わる人は多く、ポータルサイトでも検索の条件設定に共用サービスのチェックボックスがあり、成約の上で、有利になるのは間違いありません。結局は普段、使わなくても、資産性にはプラスの影響となるのです」 不動産市況の要素を除いたマンションの価値は、基本的に買った時をピークに下がっていくもの。それが唯一、資産価値を向上させる手段あるとすれば、共用サービスの充実化なのかもしれない。 前出の住宅ジャーナリストが続ける。 「現状で、共用サービスがあまり利用されていないのは、理事会の過度なノーリスク志向と節約志向で極端に保守的な運用になり、そこには投資や企画の発想がないから、やがて陳腐化して誰も利用しなくなるのです。共用サービスに関しては経営の意識を持つことも重要で、自分のマンションであれば、アイデアを出し合って『改革』するのは案外楽しいものです。 例えばラウンジに無料で利用できるコーヒーメーカーや給茶機を導入したり食器にもこだわれば、セルフサービスのカフェのようにはできるはずです。その他にもスペースを余していれば、マッサージチェア、遊興設備、またオフィスにあるようなミニコンビニの導入など、アイデア次第で居住者が欲しいというサービスを導入すれば満足度は高まるでしょう。 ただ、多数が納得するサービスを決めようとすると、なかなか決まらないので、少数が納得するサービスを予算を決めていくつか導入するという考え方がいいでしょう。個人で利用するには手に余るものを、タワマンなど大規模マンションでは、総戸数で割った費用負担で利用できるのです。 こうしたスケールメリットは生かさない方がむしろ損です。高級ホテルに高額な備品があるのは、客単価では安価な投資で顧客満足度を得られ、結果的に収益性が高まるからです。 こうしたソフト面でのサービスの充実化は管理会社は手間の割に利益には繋がらないため、提案してくれることはほぼありません。理事会が主体的になる必要がありますが、手間に感じれば、委員会など立ち上げて、住民から有志を募ってみる方法もありでしょう」
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