コメの高騰で苦悩する回転寿司チェーン。最高益が相次ぐ好調4社と明暗分かれた“かつての王者”
競合他店よりも儲ける仕組みが確立
決算資料(2024年3月期)から業績を見ると、売上618億円、営業利益49億円、営業利益率8.0%と、大型回転寿司チェーンの平均値である5%を3ポイントも上回っており、競合他店よりも収益力が高く、儲ける仕組みが確立されているようだ。原価率は41.1%と他社と比較すると低いのが明白で、米の仕入れが低いのもあるが、顧客満足度の高い商品ラインナップでありながらも、店側の原価管理も徹底されているようだ。 収益向上策として、①インフレを見込んだ売価の適正化、②メニューミックスの効果的な実施で売上と利益のバランスの最適化などを徹底しているようだ。テレビ番組の出演やSNSの効果的活用で認知度も高まってきている。回転寿司の鉄板的ネタであるマグロはネタの大きさからコスパ最強ではと高い評価であり、その他創作寿司やデザートも人気だ。それらは週末のウエイティングルームの込み具合を見ればよくわかる。 直近(2024年4~9月上期実績)の業績を見ると、売上338億円(前年同期比9.2%増)、営業利益39億円(前年同期比62.4%増)、営業利益率11.6%と2桁台の営業利益率は回転寿司業態としては驚異の数字だ。ROE(自己資本利益率)27.4%と投資効率も高く、自己資本比率41.3%と財務も安定だ。
5位からの巻き返しを図るパイオニア「かっぱ寿司」
コロワイドの傘下に入り、盤石な経営資源とネットワークを活用し巻き返しを図る、業界5位のかっぱ寿司(かっぱ寿司309店、2024年9月時点)。1994年は回転寿司業界のリーディングカンパニーだったが、競合店の出店による売上低下、総菜事業など業容拡大に励んだものの、広めの空間はムダが多いともいえ、坪効率が低下し業績低迷に陥った。 そこで業績向上のために手っ取り早く原価を抑制して利益確保に努めたが、お客から商品への不満が増えて、さらに業績が悪化するなど負の連鎖に対応できなかった。そういった状況下で、追随してきたスシロー・くら寿司・はま寿司などに追い抜かれ、差をつけられてしまったのである。現在はコロワイドの傘下で、グループ企業との連携を強化しながら、ブランドのリブランディングに力を注いでいる。 前期(2024年3月期)の業績は売上722億円、営業利益17億円、営業利益率2.4%となっており、上位3社には、まだまだ差をつけられている。しかし、名店とのコラボ商品や人気タレント・プロ料理人を起用したTVCMで「かっぱ寿司」ブランドの認知度向上に向けた販促を強化している。 キュウリでシャリを巻いたヘルシー感のある新発想である「かっぱ軍艦」も話題で、他商品も大贅沢感のあるネタを一皿100円(税込110円)で提供するなどして巻き返しを図っている。アプリ会員には生ビール半額クーポンを定期的に配布し、新ネタの提案や割引キャンペーンも随時実施して集客対策を講じている。今年度上期のカッパクリエイトの連結売上は370億円、事業利益は5億円、利益率は1.5%だが、今後の業績向上に期待する根強いファンは多い。