コメの高騰で苦悩する回転寿司チェーン。最高益が相次ぐ好調4社と明暗分かれた“かつての王者”
最も積極的に出店数を増やしている「はま寿司」
外食最大手ですき家などを運営するゼンショーが、回転寿司事業への参入を目的として、2002年10月に設立したのが業界2位のはま寿司(国内620店、海外82店、2024年9月時点)だ。 立地は郊外ロードサイド店が多く、いつも新ネタを紹介した賑やかな店頭にタペストリーを設置し、道路側には目立つノボリを立て、吸引力を強化している。はま寿司もライン登録会員への頻繁な新メニューの紹介とクーポン付与を毎週必ず実施しており、販促活動も強化しており、最も店舗数を増やして勢いがあるようだ。 売上は前年1695億円(2023年3月期)に対して1971億円(2024年3月期)と、前年同期比16.3%と伸ばしており、営業利益に関しても前年84億円(2023年3月期)に対して114億円(2024年3月期)と35.5%も伸ばしている。売上の伸びより利益の伸びのほうが大きいのは、DXの積極的な推進が、効率性をさらに高めているのが推察される。 直近の業績(2024年4~9月、2024年上期)を見ると、前年同期比938億円に対して今期は1171億円と24.8%増だ。営業利益は前年同期比49億円に対して今期は97億円と約2倍に急伸しており、最も成長路線に乗っているように見える。
レーンにこだわり、本来の姿を貫く「くら寿司」
回転寿司チェーンは衛生管理やいたずら防止などを理由に客席への専用レーンを導入している店が増えている中、業界3位のくら寿司(国内552店、海外129店、2024年10月末時点)だけはレーンを回し続けている。 同店は昔から衛生管理への徹底は定評があり、お客に「より安全と安心を」をモットーとしている。「抗菌寿司カバー鮮度くん」はウイルスや飛沫などから、お客を守る姿勢には昔から高く評価されている。 仕組みとしては、「鮮度くん(寿司カバー)」の上部についているQRコードによる製造時間制限管理システムを導入後、長時間レーン上に置かれた寿司を廃棄するシステムになっている。お客が皿を投入口(皿カウンター)に入れることで洗い場まで自動的に回収され、同時に枚数がカウントされ、精算されるのだ。また常に卓上もすっきりとしているので快適に過ごせるようだ。 出店も積極的に行っており、今期(2024年10月期)は31店舗(国内11店、海外20店)を出店し、はま寿司に続いている。海外はアメリカ68店、台湾58店、中国3店を展開。業績は売上2114億円、営業利益24億円(23年10月期)となっていたが、今期(2024年度10月期)は前年を上回る好調さを維持しており、第三四半期を終えた直近(2023年11月~2024年7月)の業績を見ると、売上1179億円(前年同期比12%増)、営業利益64億円(前年同期は3億7600万円の赤字)を計上し躍進している。